笑いあり涙あり!トルクレンチガールズ初単独ライブ『29歳のアホンダラ』をレポート!

2022年7月17日(日)、トルクレンチガールズ初単独ライブ『29歳のアホンダラ』が、楽屋Aにて開催された。

トルクレンチガールズは大阪で活動するフリーのお笑いコンビである。ナニワ色の濃い漫才が特徴で、うまこの生み出すネタやワードの面白さと、力学によるコロコロコミックを彷彿とさせるコミカルかつダイナミックなツッコミが人気。社会人芸人であり、大阪発のお笑いユニットWEST ANTSのメンバーでもある。今回はそんな彼らの初単独ライブの様子をレポートする。

配信は以下のURLから購入可能です。
https://note.com/ashi_hosoi/n/ne2a22bfcc3b9 ※販売期限:8月17日(水)/視聴期限未定
ネタバレ無しでライブを楽しみたい方は、配信視聴後にライブレポートと合わせて再度お楽しみください!

※以下、本編のネタバレを含みます。

『ABCお笑いグランプリ2022』で最終予選60組に選出されるなど、インディーズ界隈で異彩を放つ彼らへの注目度は高い。会場には90人近くのお客さんが集まった。

ゲストに迎えたのは、WEST ANTSからにぼしいわしとボニーボニー。漫才・コント・VTR・ゲストネタ・コーナーとボリューム満点の単独ライブは120分に及んだ。

後列:ボニーボニー(とくのしん、花崎天神)、にぼしいわし(にぼし、いわし)
前列:トルクレンチガールズ(うまこ、力学)

会場では公演前後にグッズ販売があり、訪れたお客さんがTシャツや攻略本など様々なグッズを購入できた。

グッズ一覧

単独限定グッズはTシャツ・ハンカチ・アクリルスタンド・トルクレンチガールズ攻略本と多岐に渡る。加えて、「トルクレンチガールズがいつも抱えているグッズ」としてシールとアクリルキーホルダーも販売していた。気になるのは力学の横に大きな吹き出しがついているアクリルスタンド。水性ペンで文字を入れればいつでも力学がツッコんでくれる代物だ。攻略本もかなり凝られており、イカした写真とともに二人のことが詳細に書かれている。ファンは是非ともゲットしておきたい一冊だろう。

トルクレンチガールズ徹底解剖攻略本

※グッズ購入希望の方は、下記メールアドレスに問い合わせを
torque.wrench.girls@gmail.com

オープニングから涙目の力学

青空をバックに撮影されたオープニング映像から始まり、客席の期待度はMAX。

登場早々、力学の顔を見たうまこが一言「泣いてる!?」。「青空見て感動した」と力学。オープニング映像の空の青さに、そして当日の晴天に感動する素直な心の持ち主である力学に会場は大爆笑。そのままネタに入り、1本目のネタ「立ち飲み屋」を披露した。ワクワクしているお客さんの期待に応えるように大爆笑をかっさらっていく。

泣いている力学

2本目の漫才は、手術する子どもを勇気づける野球選手が題材。うまこの生み出すワードの強さが力学という出力機とかけ合わさり、何倍もの力になってお客さんの五感へ届く。それが大爆笑となって会場全体を埋め尽くす。そんなエネルギーの交換が短い間に何度も行なわれていた。

3本目は漫才「ポケモン」を披露。ポケモンが好きな人はもちろん、ポケモンを知らない人でも十分楽しめるネタとなっており、何度も爆笑を取っていた。このネタの中で、力学はポケモンになったり素に戻ってツッコんだりを繰り返すのだが、力学が本当にポケモンに見えてくるから不思議である。愛くるしい目とスキンヘッドがこうも活きるのかと思わされるほどに、その姿はポケモンそのものだった。カビゴン・ピカチュウ・ゼニガメなど色々出てきたが個人的にはヒトカゲを推したい。

ヒトカゲすぎる力学

漫才三本の次はVTRが始まった。

幕間VTR「大喜利100答するかセックスしないと出られない部屋」

VTRが始まると、和室に二人。長机の前に座り、ケータリングを並べて大喜利に励むトルクレンチガールズがいる。

大喜利の強さはネタを見ても明らかだが、このVTRではそんな二人の大喜利を堪能することができる。テンポよく文章で回答するうまこと、マイペースに独創的な絵を使って回答する力学。両者が己の戦法で100答を目指す。

「こんなトルクレンチガールズは嫌だ」で100答を目指す二人

二人だけで楽しんでいる様子など、普段見られないところが見られるのも単独VTRの醍醐味だ。配信企画「百喜利」のオマージュ的要素も盛り込まれており、遊び心溢れたVTRとなっている。

幕間VTR前編が終わって始まったのは、普段はなかなか見ることのできないコント。作業着姿の二人が登場し、真面目に朝礼をこなす。作業着姿の成人男性が体操しているのを真正面から、ずっと見続けたことがあるだろうか。観客全員、初めての体験だったに違いない。一見の価値はあるはず。「同じ職場のあの人もあの人も、こんな感じなのかな」と思うと倍楽しめるだろう。

ネタの中に力学とうまこ!?ゲストネタ二本立て

VTRの後編が終わり、ゲストネタ1組目はボニーボニー。

「いや~すいませんねぇ」から始まるトルクレンチガールズの掴みで、会場からはドッという笑い声が沸き起こった。ワンチャンスを狙う男をぶっ潰す「ワンチャンスブレイカー」のネタを披露。いつものネタの中に力学が登場するなど、トルクレンチガールズ単独仕様のネタで楽しませた。途中から力学の恋愛事情の暴露が始まり、裏では力学の非力な声が。

ワンチャンスを狙う男をぶっ潰すネタにて、力学登場シーン

続いて登場したのはにぼしいわし。

こちらもトルクレンチガールズ風の掴みで笑いを誘った。攻めた水族館を作りたいというネタを披露し、元のネタに力学とうまこが登場するスペシャルバージョンで爆笑をかっさらう。水中版トルクレンチガールズがかわいらしく、今回しか見られないのがもったいないくらいであった。

水族館にて、うまこの対になるもの「うおこ」を見つけるいわし

力学考案即興ツッコミ漫才

続いて始まったのは、ボケたい力学発案の即興漫才。力学が事前に用意してきたボケをうまこがその場でツッコむというものだ。さすが同級生コンビという拾い方で、精度を落とすことなくツッコんでいくうまこ。それを受けて嬉しそうに次々とボケていく力学。二人とも楽しそうにしていたのが印象的であった。力学のダイナミックさはボケでも健在であり、途中ラグビーのハカをする場面では凄まじい迫力を見せた。

「うまこはどうツッコんでくれるのかな」という気持ちが全身から漏れ出ている力学

ゲームコーナー「中身を見抜け!白鶴まるゲーム」

うまこ考案、両手に持つ白鶴まるのパックの中身が空か満タンか当てるシンプルなゲーム。

漁船に乗った矢崎滋が大勢の人々と共に「まる~っ!」と叫ぶ白鶴まるのCMの音源を使って、一緒に「まる~っ!」をしたい。そして、彼らの持っているまるが満タンであってほしい。これらの願いから生まれた白鶴まるゲームは総当たり戦で行なわれた。しっかりと勝者を決めようとするところにうまこの真面目さと少しの狂気が見えた。

練習では、力学の指摘に、「芯食い過ぎてる」という理由で舞台上がざわつく場面も。はじめはゲストも「なんでこんなこと……」と不安げだったが、ゲームが進むにつれて白熱し、最終的にはかなりの盛り上がりを見せた。

「まる~っ!」

ゲームコーナーを終え、最後のネタは漫才「田舎」。うまこのボケと力学のツッコミによって笑いはどんどん増幅し、会場中を包んだ。最後の最後にはハプニングもあり、波乱の初単独の全ネタが終了した。

「すなーーー!!!」

家族愛でいっぱいのエンディング

エンディングではゲスト含め全員が登場。グッズの話になり、花崎はグッズを売っているのがうまこの妹であると紹介。続けて花崎は、妹が「兄を尊敬している」と言っていたことを伝えた。うまこは妹に思いを伝え、会場は一気に感動的なムードになった。

話題は一転して力学の出会い系の話に。マッチングアプリのアカウント名をばらされてしまい、早く登録名変えたい力学。「家族も来てるんですよ~」と嘆きつつ、最後まで会場を盛り上げた。

写真タイムにて、周りが力学ポーズの中一人だけピースの図

「なんでピースや!」とツッコむうまこに対し、「お母さんに写真撮るときはピースしてって言われた」と力学。母の言葉を守りピースし続けた。

終演直後インタビュー

———初の単独ライブお疲れ様でした!率直に、今の感想を聞かせてください。

うまこ: 1本目の漫才、気持ち良かったです。ほんま、こんなウケるかっていうぐらい。お客さんは僕らを見に来てくれてはるし、楽しみにしてくれてたっていうのがあるんで、ウケて当たり前なのかもしれないですけど。それでも、こんなウケるか!?って思ったんで。気持ちよかったです。

力学: 本番楽しかったんで、良かったです。

うまこ: 小学生やん。

力学: 僕は当日楽しかったら最高だと思うんで。来てくれた人ががっかりしないようなパフォーマンスしたいなっていうのがあって。ちょっとミスもありましたけど、おおむね楽しく盛り上がって良かったです。

うまこ: にぼいわさんとかボニーさんがめっちゃ前から楽しみにしてくれてて。始まる直前も「ほんま楽しみやわ」とか言うてくれたり。今日のネタの中で僕らをめっちゃいじったりしてくれてたり。ほんまにいつもお世話になってて、そこまでしてくれるんかってちょっと泣きそうになった。

力学: やっぱり、お客さんがネタもコーナーもVTRも楽しんでくれたっぽいんで、そこは嬉しかったです。

———単独ライブを開催することにしたのはなぜですか?

うまこ: 去年は、2~3ヶ月に1回のペースで主催ライブをやってたんです。次なにしようかなってなったときに、ええのがなくて。主催ライブを7月ぐらいやろうかなって思ったとき、『M-1』も近いですし、ここでいっちょ単独ライブとかやってみようと。どんだけお客さん来てもらえるかや、自分たちの身のほどを知るためにも。それに、目標がないとなかなかネタ書けないので。単独でもやったら4~5本はネタ書くやろうと、自分たちに鞭打つためにやりました。

———素晴らしいです。

うまこ: 今までも「単独やりーな」みたいな、よう言われたんですけど。「いや、僕なんかそんなか価値ないですよ」みたいな感じやって。今回身のほど知るためにやろうって決めたんが3月。日にち決めて楽屋Aおさえてもらって。最初は(楽屋Aよりキャパシティの少ない)舞台袖でやろうかって言ってたんですけど、楽屋Aにして良かったです。結果90人ぐらい来ていただけました。

———配信もありますが、お客さんに特に観てほしいところはどこですか?

うまこ: ゲームコーナーですね。いつも良くしていただいてる先輩たちと、なんかアホみたいなゲームをやりたいなと思ってアレを思いついて(笑)。

アレ(まる)

乗っかってもらったっていう感じですね。ネタも、3本目のポケモンのネタとかは単独じゃないとやらん感じというか、ほんま世代を絞らんとウケへんようなネタなんで。そういうネタも躊躇なくできんのは単独なんかなって。あと、最後のネタ。田舎っていうネタなんですけど、今年の頭に作ってようやってたネタで。『M-1』の準々とかに持っていけたらなって思ってるネタなんです。ありネタがフォーマットなんですけど、中身のボケを全部新しくしたんで、いつも見てくれてる人がそれを楽しんでくれてたらええなと。

あと、出囃子も注目してほしいですね。二人で流したい曲選んでやってたんですけど、1本目のネタが過去に使ってたザ・クロマニヨンズの『底なしブルー』、最後のネタはいつも使わせてもらってるTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの『いじけるなベイベー』で出ていきたいなっていうのはあって。

力学: あれ、あがったな。

うまこ: 特に相談はしてなかったんですけど、それは絶対そうしたいなと思った。

———力学さん的に、特に見てほしいところはどこですか?

力学: 冒頭の漫才3連発。途中休憩なしに行くんで、あっこをどんどん盛り上がっていけるように見せれたらなぁと思ってたんです。でも1発目の漫才で、スタミナフルで使っちゃって(笑)。2本目以降声出なかった。

うまこ: あー、せやんな。うん。なんかめっちゃ声ちっちゃってる!って。特に言えへんかったけど。

力学: あれは反省ですね。

うまこ: まあ、なかなかネタ3本いっぺんにやるなんかやったことないもんな。

力学: ラジオ体操第2をフルで踊れたのは良かった。

うまこ: いや、ちょっとね、2か所ぐらいミスって悔しいんですよね。中学のとき習ったのに。

力学: 人前であんなにシラフで体操できる事ないんで。

うまこ: シラフ(笑)。酒飲まんやろ、ラジオ体操するとき(笑)。


にぼしいわしとボニーボニーをゲストに迎えた、トルクレンチガールズ初の単独ライブ『29歳のアホンダラ」の配信は、以下のURL(note)から購入できる(8月17日まで販売予定)。ライブに行った人は無料で映像を観ることができるため、まだ観ていない人も現地で観た人も、全員要チェックだ。

🎫配信チケットはこちらから:https://note.com/ashi_hosoi/n/ne2a22bfcc3b9
※販売期限:8月17日(水)/視聴期限未定

大阪の地で躍進する彼らの初単独、ここで見ておけば自慢できること間違いなし。ライブを観た人は#29歳のアホンダラをつけて感想ツイートも是非。迷っている人は、事前に感想をチェックすることをおすすめする。

取材(文・写真):藤田うな
編集:堀越愛

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