「アマチュアお笑いライブ制作 楽しいペチカ」によるライブ『二種盛り』 が、2021年1月23日(土)に配信にて開催された。近年、フリーで活躍する芸人や、社会人と二足の草鞋を履く芸人の活躍は目覚ましい。その一部を輩出している学生お笑い、社会人お笑いなどのアマチュアシーンは確実に盛り上がりを見せており、お笑いファンならぜひ押さえておきたいところだ。
2021年1月から本格始動した「楽しいペチカ」は、「アマチュアなら学生も社会人も誰でも出れるライブ」を掲げ、毎月第4土曜日にライブを開催している。『二種盛り 』は、ネタと大喜利の両方を行うというコンセプト。観客を飽きさせない、タイトル通り“一度に二度おいしい”ライブとなっている。緊急事態宣言を受け、観客を入れる予定が急遽無観客の有料配信形式に変わった。しかし60枚近くの配信チケットが売れた上、アーカイブも300回近く再生されており、人気ぶりがうかがえる。
ネタも大喜利も、抜群の安定感で会場を温めたAブロック
まず登場したのは、MCを務めるデッサンビーム(黒川・有吉) とぺるとも。オンラインでの配信形式ながら、普段のライブよりも多くのチケットが売れているという話になり、「見られてるよぺるとも~」といじられるぺるともが可愛い。
トップバッターは、ダブルレンズ(オックン・丹波)。 YouTuberとしても、社会人による社会人のためのお笑いライブ『わらリーマン』主催としても人気のオックンが、大学時代から組んでいるコンビだ。丹波が最近夜勤を始めたという話から、テンポのいい言葉いじりが加速するにつれ、笑いも倍増していった。
続いて出てきたのは、ピン芸人のごとうSC。デスゲームを題材にしたネタを披露し、ツッコミのキレや独自の視点、ワードセンスで、どのボケも外さずに丁寧に笑いを届けていった。
3組目は、2020年に『M-1グランプリ』ナイスアマチュア賞にも選ばれた、デッサンビーム(黒川・有吉)。「ないなぁ~」という言葉が様々な面白さへ展開し、両者の一言一言に感覚が研ぎ澄まされ、ずっとワクワクできる漫才だった。
ここでいったん、大喜利のコーナーへ。ここまでの演者と、司会の俺スナ、大喜利ゲストのぺるともが登場した。
最初の自己紹介では、デッサンビーム・黒川が「こんなにも、ネタの形がかぶるとは」とコメントし、ダブルレンズとデッサンビームのネタ構造がやや似ていたことを指摘。互いに深々とお辞儀をし、笑いを誘った。こういった絡みが見られるのも、ネタの合間にコーナーがあるライブならではありがたい 。
「酔っ払いしかいないお笑いの賞レース」というお題が特に盛り上がり、「M-1のトロフィーがおみやげを持っている」(デッサンビーム・有吉)、「朝顔・サイコロ・サイコロ・サイコロ・サイコロ・サイコロで、消しゴムだ!いーや、オロロロロロ」(デッサンビーム・黒川 )、「敗者復活から全員上がっちゃう」(ダブルレンズ・丹波)などの回答が続いた。
全組、「らしさ」が全開!「ヤンキー母校に帰る」大喜利も大盛り上がり
大喜利あけトップバッターは、『M-1』 2回戦の動画も話題になった学生芸人のREDLIST(髙岸遼太・仲條友彪)。服屋の店員という設定で、ボケのしつこさ、ツッコミのテンションが炸裂し、後半にかけてボルテージの上がる漫才で観客を楽しませた。
その次に出てきたConva(田野・警備員・吉原怜那)は、コールドストーンのように店員さんが歌ってくれるアイス屋さんに訪れた男のコント。店員のテンションの高さや独特の間が、どこか不穏な空気を醸し出しており、まさかのオチの余韻がクセになって暗転後も余韻のような笑いに包まれた。
Bブロックのトリは、ピン芸人のヨシダin the sun。男子中学生の魂の叫びがうかがえるような設定のバカバカしさがたまらない上に、演技の熱量、そして時折挟まる洒落 とのギャップにグッとくる。
大喜利ゲストに冬の鬼を迎えたBブロックの大喜利では、特にConva・吉原の勢いが止まらず、「あだ名が『鬼』のおばあちゃん。その理由は?」という1問目では、「おばあちゃん会いたかったよーって顔ぎゅってしたら、かったい」「くっさい」などの回答で会場は大盛り上がり。
2問目の「『ヤンキー母校に帰る』みたいなのに全然面白くなさそうなドラマのタイトル」というお題でも、「ファンキー加藤に会える」(Conva・吉原)、「シャンプーボディーソープ」(冬の鬼)、「母校行き行きヤンキー」(ヨシダin the sun)といった回答で爆笑が続いた。
会場のテンションもマックスに!今日イチの笑いが飛び出す
続いてCブロックトップバッターは、コウキシン(コウキ・シン)。中国人であるシンの可愛らしい雰囲気から飛び出す偏見や毒っ気と、ツッコミのコウキの冷静さのバランスが絶妙で、すぐに会場の空気をつかんで笑いを誘った。
次に出てきたのは、学生芸人の清水駿平。これまでに見たことのないような展開、声や喋りの独特さに心をつかまれ、ネタの肝であるフレーズが飛びだすたび拍手笑いを起こした。この日、最もウケたといっても過言ではないほどの爆笑だった。
トリを務めたのは、社会人お笑いの大会やライブ常連のハバネロ胡椒(なるき・やすひろ)。「元カノに五股されていた」という話が展開し、どんどん複雑になっていく無茶ぶりや大胆な動きから目が離せない。圧巻の漫才で観客を惹き付けた。
ラストの大喜利ブロックは、ごとうSCが司会となり、大喜利ゲストの羅漢、これまで司会を務めた俺スナ、Conva・田野も回答者として参加。
「朝、異性の家から出てくるよりもインパクトがある女性アイドルの写真は?」というお題では、「醤油を1から作っている」(俺スナ)、「夜、自分の家を燃やしている」(ハバネロ胡椒・やすひろ )といった回答や、生のライブならではのブラックな回答も飛び出し、臨場感がたまらない。
ラストの「何でも思ったことを口にしてしまう正直太郎さんが街ブラロケで言いそうなこと」というお題では、「服もらいたいっすね」(清水)という回答を皮切りに、誰もが思っていること、無意識下の気付きへと回答の趣が変化していった。大喜利ならではのおかしみを感じられるようなお題だった。
エンディングMCはごとうSC、俺スナが担当し、1組ずつ告知のコーナーへ。
今回のライブでは、YouTubeのコメント欄を読み上げる場面もあり、配信ライブだからこその観客と舞台とのやり取りを楽しむことができた。また、大喜利コーナーでは皆さんがマスクを着用しており、安心して観ることができた。コロナ禍でも様々な工夫を重ね、アマチュアシーンも確実 に面白くあり続けている。
2月15日(月)には、中野Studio twlにて学生限定の『二種盛り』が開催される予定。ネタも大喜利も両方味わえる素敵なライブを、ぜひ体感して欲しい。
★「アマチュアお笑いライブ制作 楽しいペチカ」のライブ情報はこちらから★
・WEBサイト:https://amateurowarai.amebaownd.com/
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