関西アマチュア芸人を青田買い!社会人・学生芸人によるバトルライブ「二足のわらじ」

2021年3月6日(土)、大阪・難波にあるBAR舞台袖のオーナー・加藤進之介主催のライブ『二足のわらじvol.13』が開催された。『二足のわらじ』は、正社員(それに準ずる契約社員等)や学生をしながら芸人活動している方々限定のバトルライブである。2020年9月から行われていて、今回は13回目だ。MCにプロの芸人を迎え、総勢10組の芸人がネタバトルを行う。観客はMCコンビ以外の面白かった3組に票を入れ、客票+MC・主催者による特別票を集計し順位がつくというシステムである。

〈出演者〉
ハノーバー(MC)・トキマボッシ・フリックフラック・コーホー・かかってこい!パクチー・ベルベッティ・トルクレンチガールズ・トリガーハッピー・ナックラー・ビーフカレーパン・ロクショウ

難波にあるBAR舞台袖入口

MCは松竹芸能のハノーバー(井口バツ丸・良元カルビ)。お笑いに真摯に向き合う兼業芸人たちの本番前の様子を紹介しつつ、社会人にまつわるエピソードを披露して会場を大いに盛り上げた。

MCを担当したハノーバー(左:井口バツ丸、右:良元カルビ)

兼業芸人10組+MCによるネタ披露

最初に登場したトキマボッシ(神谷拓洋、東寛太郎)は、東が歌いだすところからスタート。サビを歌い終えると突然プラスチックごみの行方について話しはじめ、独特な掴みで会場を自分たちの空気にした。淡々と語っていく東に神谷がツッコミを入れるスタイルで、話題は環境問題から血液型占いの話まで様々。アドリブも入れたりと自由な漫才を披露して笑いを誘った。

トキマボッシ(左:神谷拓洋、右:東寛太郎)

続いて登場したのはフリックフラック(上山立起、高橋壱歩)。上山の「大学卒業が確定した」という嬉しいニュースからスタート。爪楊枝ポイ捨ての是非を巡るしゃべくり漫才を披露した。軽快なテンポで行われる掛け合いが心地良く、ボケとツッコミの相乗効果により大きな笑いが生まれていた。

フリックフラック(左:上山立起、右:高橋壱歩)

続いてはピン芸人のコーホー。高速餅つきの弟子という設定でコントを披露。音声と持ち前の表現力でネタに広がりを持たせ、先読みできない展開で笑いを誘った。

コーホー

続いてはかかってこい!パクチー(マサキ、アキヒデ)。謝罪会見とカメラマンのコントを披露。少し毒が垣間見える謝罪の一言一言とカメラのフラッシュで客の心を掴み、会場を沸かせた。

かかってこい!パクチー(左:マサキ、右:アキヒデ)

続いては社会人芸人のロクショウ(ペドラザ、タケル)。落ち着いた低音ボイスで放たれるエッジの効いたボケと勢いのあるツッコミで構成されたコンビ。シュールでありながらも速いテンポ感で進む漫才を披露し、観客をうならせた。

ロクショウ(左:ペドラザ、右:タケル)

続いては学生芸人のベルベッティ(吉田紘輝、前川浩輝)。何の説明もなく「お姉ちゃん(26)」、「田中(22)」というワードが出てくる、クセのある漫才を披露。気付きから笑いが生まれるような捻りのある構成で、観客に大きなインパクトを与えた。

ベルベッティ(左:吉田紘輝、右:前川浩輝)

続いては社会人芸人のトルクレンチガールズ(うまこ、力学)。キャバクラのコント漫才を披露。素のキャラクターが強い力学がコント漫才の中で本人として振る舞いツッコむ姿が面白く、うまこの様々な角度のボケと力学の強烈なツッコミで爆笑をかっさらった。

トルクレンチガールズ(左:うまこ、右:力学)

続いては演技派の女性コンビ、トリガーハッピー(石井、梯)。水晶を覗き込んで一人納得してしまうマイペースな客とそれに振り回される占い師を描いたコントを披露。徐々に体裁を保っていられなくなる占い師のさまに笑いが生まれていた。

トリガーハッピー(左:石井、右:梯)

続いては学生芸人のナックラー(源、ユウガ)。ねずみ講を題材にした漫才を披露。源の絶妙なねずみ講加減にユウガの的確なツッコミが入ることで笑いが増幅し、テンポの良い掛け合いで客席は笑いの渦に巻き込まれた。

ナックラー(左:源、右:ユウガ)

続いては学生芸人のビーフカレーパン(樫本、みきそうま)。お風呂を題材に、自然体な空気感が癖になる漫才を披露。絶妙な緩急で観客を惹きつけ、途中でボケとツッコミが入れ替わると、フリの効いた展開で会場を沸かせた。

ビーフカレーパン(左:樫本、右:みきそうま)

最後はMCのハノーバー。井口が同窓会での自分の振る舞いを再現する形で漫才を披露。コミカルながらも毒のあるボケとキレのあるツッコミによる掛け合いで爆笑を取り、大阪で叩き上げた漫才でプロの意地を見せた。

ハノーバー

兼業芸人からお笑い一本へプロの世界に進むコンビが登場したトークコーナー

全組のネタの終了後、観客の投票用紙を回収・集計している間、MCが気になるコンビを呼び込んでトークの時間が設けられた。

最初に登場したのはフリックフラック。4月から東京にあるワタナベコメディスクールに入学することを発表。学生芸人からプロを目指して上京するという瞬間を見届けることができるのは兼業芸人ライブならではであり、客席からは応援の拍手が送られた。

次に登場したのはナックラー。ユウガの留年が決まったこと発表すると、客席からは大きな拍手が送られた。また、4月からコンビで大阪NSCに入学することも発表。アマチュアでなくなることを惜しむと、ハノーバーからは「プロの世界は厳しいぞ」と激励の言葉が送られた。

トークコーナーの様子(ハノーバー、ナックラー)

結果発表!優勝は社会人コンビのトルクレンチガールズ

客票+MC・主催者による特別票を集計した結果は以下の通りになった。

1位 :トルクレンチガールズ
2位 :ナックラー
3位 :フリックフラック

プロの道へ進むナックラーとフリックフラックを差し置いて1位を勝ち取ったのは、トルクレンチガールズ。社会人の強さを見せつける結果となった。上位者はプロが出ているライブへのエントリー権が送られ、1位獲得者には年間チャンピオン大会「兼業芸人王」(2021年3月20日開催)への出場権が与えられた。

優勝したトルクレンチガールズ

後日行われた「兼業芸人王2021」でトルクレンチガールズは見事優勝。関西の社会人・学生芸人のトップに躍り出た。今後の活躍も要チェックなコンビである。トルクレンチガールズに限らず、関西のアマチュア芸人界にはまだ見つかっていない面白い芸人が多く眠っている。お笑い文化が強く根付く関西で育ち、アマチュアライブで着々と実力をつけている彼らを青田買いしてみてはどうだろうか。

特に、社会人として働きながらもお笑いを頑張りたいという芸人のお笑いへの熱量は計り知れない。今年度も「二足のわらじ」は定期的に行われている。詳しくはBAR舞台袖のSNSないしブログにあるイベント予定をチェックしてほしい。

取材・ライター:藤田うな

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