タイムラインを埋め尽くす賛辞と映画レビュー……その時、草月ホールで何が起こっていたのか【「怪奇!YesどんぐりRPG裏ライブ『?』」ライブレポート】

Yes!アキト

「世の中には2種類の人間がいます。生身の人間と、上から出る映像の人間。どんぐりたけしはその両方の属性を今回、併せ持つ運びとなりました。どんぐりたけしの『たけし』が【たけしどんぐり】からではなく、どんぐりたけしとなったのは映像が上で下が生身の人間だから。【たけしどんぐり】のどんぐりたけしに添える言葉の『たけし』は、意味としての『たけし』よりも強く…………そうなるのは明日かもしれません。」

Yes!アキトが言い終えた瞬間、舞台は暗転し「怪奇!YesどんぐりRPG裏ライブ『?』」は幕を下ろした。鳴り止まぬ拍手。鳴り止まぬ“奇妙”な音楽。そして観客の熱気はピークのまま。

Twitterで本ライブ「?」を検索すれば『マルホランド・ドライブ』や『去年マリエンバードで』、『バックトゥザフューチャー』の感想ばかり出てくる。

4月10日に草月ホールで行われた『怪奇!YesどんぐりRPG裏ライブ「?」』。現場では一体何が起こっていたのか。写真と共に振り返りたい。

開幕はものものしく

舞台上に配置される怪奇!YesどんぐりRPGの3人

開演直前、スタッフによって舞台まで運ばれる3人。全員が意識を失っている、ということだけがわかる。客席から小さな悲鳴が上がる。

ムール貝酒蒸しにして

意識を取り戻した3人。リハーサルから舞台に上がるまでの記憶が飛んでいるという。不可解な状況を前にギャグを試みる怪奇!YesどんぐりRPG。起き抜けのギャグを目の前に、観客はシャッターチャンスを逃さない。突如画面が乱れ、「ゲームマスター」を名乗る謎の人物が浮かび上がる。

「草月ホールはバカリズムさんとかがやる小屋だ」などとゲームマスター
浮かび上がる謎の数字

ライブを乗っ取ったと言うゲームマスターが提案する謎のゲーム。再び切り替わった画面に現れたのは【530】と言う謎の数字。刻一刻と減り続けるタイマー。

サツマカワRPG
Yes!アキト
どんぐりたけし

状況を掴みかねる3人。それでもタイマーは数字を刻み続ける。

「ライブ終了までにカウンターを0にしろ。このゲームにクリアできなかった場合、草月ホールは完全に封鎖される」

ゲームマスターが言う。

「その場合、夜の部の会場は阿佐ヶ谷商工会館 和室である」

とも。

カウンターを減らすため、自身の髪の毛を抜くどんぐりたけし

どんぐりたけしがスクワットや自分の髪を抜くなどするも数字は減らない。その時、

射・手・座
派遣社員覚醒

ギャグによって数字が減っていく。

減り続けるカウンター。

ルールにまつわる“すべて”に気がついた3人

そこからはギャグ、ギャグ、ギャグ、ギャグの連打。

お〜れ〜はジャイア〜ントコーンを食べる〜
立派な自然薯が取れました〜 
ニポンのファンのミナサンコンニチハ〜 ボクはモウスグケイムショにハイリマス タスケニキテネー

めくるめくギャグの連打に爆笑が続く。だがこのペースでは530を0にするには到底間に合わない。 

“召喚”の時間

召喚のポーズ

差し迫った状況を打破するには。思案の末、怪奇!のとった策は……

金澤TKCファクトリー

召喚だった。カウンターを減らすため、様々なギャガーを舞台に降臨させる。怪奇の3人に負けず劣らず爆笑をさらう召喚されしギャガーたち。

ゴー☆ジャス

全ピン芸人の憧れ、ゴー☆ジャスも登場。もはやゴー☆ジャスにとって地球儀を使うことなく爆笑をさらうことなど容易なこと。会場は歓声が鳴り止まない。

カルボナーラ胡椒かけてます!ます!ます!

ゲームマスターから「プレゼント」されたバットを使ってモノボケでカウンターを減らす一幕。Yes!アキトにとってバットを使ったギャグで会場を沸かすことなど容易。

漫才中、どんぐりたけしはDTKCどんぐりたけしへ

そしてまたあるときは「漫才」という縛りが設けられる。彼らは生粋のギャガー、漫才師ではない。追い詰められた3人、万事休すか。しかしアキトは気づく。怪奇!YesどんぐりRPGには漫才をしながらカウンターを減らすことのできるたったひとつのネタがあると。ジングル「新宝島」が流れ、3人がゆっくりとサンパチマイクに歩み寄った瞬間、本ライブの最初のピークが訪れる。震えるような高揚感、それまで個で戦っていたそれぞれの色が怪奇!という名のもとに集まり、ひとまとまりになった光の三原色が白い閃光となって客席を覆う。

再び召喚されるゴー☆ジャス。

怪奇!の3人が崩れ落ちるほどの“完全な笑い”を体現するゴー☆ジャス。しかしカウンターの数字は無慈悲にも大きな数を示す。

99999を0に、しかし

そしてその日最大の試練が訪れる。残り時間5分にしてゲームマスターからプレゼントされたのはあまりにも巨大な数字。積み上げてきたこれまでのギャグが無惨にも霧散した。

肩を落とすアキト……しかし
どんぐりは諦めない

「情けねえっすよ」どんぐりはふたりに語りかける。ライブに来てくれた観客、配信で観ている視聴者、そして今日ライブに来ることができなかった人たち。今、諦めることはその全員を裏切ることになる。どんぐりの呼びかけに応えるアキトとサツマカワ。そして……!!!

お待たせしましたハンドバーガーです!

完成されたハンドバーガー。これは3人の力が混ざり合ったギャグであり、最大の召喚魔術でもあった。

集まるギャガー、ギャガー、ギャガー

ハンドバーガーの号令の元に、それまで登場してきたすべてのギャガーが舞台に集結した。繰り出されるギャグ。ものすごい勢いで減り続けるカウンター。疑うべくもなく、クライマックスにして本ライブのハイライトとなった。

カウンターは0に。大拍手に包まれる草月ホール。全ては解決された……かのように思われた。

思い出してほしい。本稿冒頭、なぜYes!アキトはサングラスをかけていたのか、【たけしどんぐり】とはなんなのか。Twitterに溢れた様々な映画の感想ツイートはなんだったのか。全ては配信を見て確かめてほしい。正解、と呼べるものがそこにはある。

取材(文・編集)福田 駿
撮影 堀越 愛

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