2024.02.14

巷でよく言われていることと、世に蔓延る陰謀論から見る可否【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」5杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

2月の可否

元横綱の鶴竜はバスケも上手。ヤーレンズ出井です。

先月のこのコラムでも「優勝したい」と意気込んでいた『ビートたけし杯』で優勝した。有言実行ということにさせていただきたい。

大変月並みで恐縮千万だが、やはり「目標は口にしたり文字にするのが大事」なんだと思う。それも何度も何度も。

そうすれば次第にそこに心のピントが合っていって、マインドセットされていく。それが大事なんだと思う。

このように、巷でよく言われてることは真実が多いと思うの今日この頃。

例えば「朝ちゃんとした時間に起きた方が良い」とか、「気になることはメモした方がいい」とか、「なにかを飲食することを“キメる”と表現する奴には近づくな」とか「仲間や家族は大事にしろ」とか、「アイドルの私オタクなんですアピールは市場戦略でしかないから真に受けるな」とか「キャンプはコンビのヤバいほうかピン芸人しかやってない」とか。

自分の環境が変わってくれば、次第に信じる言葉も変わってくる。最近ありがたいことにスケジュールに多少のバタつきを見せている。

それもこのワラパーのお陰だと、コラム仲間の原田フニャオといつも話している。

その原田フニャオの相方、ダンビラムーチョ大原とシシガシラ脇田と先日ライブ終わりに飲みに行った。

機嫌よくお酒を飲んでいたら、その会話の内容から我々が芸人であるという事を悟ったであろうお店のお母さんが「松ちゃんの件、どうなってるの！？」と不躾に聞いてきた。

三人の心の中のジョイマン池谷さんがそれぞれ「なんだこいつ〜！」と叫んだが、さすがにぞんざいに話を切るわけにもいかないので、お母さんの話を聞きはじめた。

するとどうだろう。お母さんの発する言葉の端々に「人工地震」とか「フリーメイソン」とかいうのっぴきならない単語がちょくちょく入ってくるではないか。

そう、お母さんは完全なる陰謀論者だったのだ！

僕はたじろいだ。ここまで完全に陰謀論にハマってしまった人を見るのが初めてだったからだ。

コロナの影響で家にいる時間が増え、その間にYouTubeなどで陰謀論にのめり込んでしまう事案が増えているらしいとは聞いていた。「実家に帰ったら両親がどっぷりだった」みたいなケースがあるらしいとも。

そのお母さんも「こんな話ばっかりしてたら娘に怒られるのよ〜」と言っていたので、娘さんに少し同情したのだが、次の瞬間「まあ、人工地震は娘に教えてもらったんだけど……」と言ってきたのですぐさま感情を撤回した。親子二代陰謀論ファミリーかい。

賢い人ほどハマりやすいという陰謀論。まあ、個人がなにを思うのも勝手なので基本的にはいいのだが、今まさに被災している方もいる震災を指して「人工地震」どうこうというのにはさすがにどうかと思い、帰り際にお母さんの目を見てハッキリと「人工地震なんてありませんよ、目を覚まして下さい」と言った。お母さんは目をギョロッとさせてなにも言わなかった。なにも言わないんかい。

まあ、地球は平らなんですけど。

～2月の可否～

可→よく言われているした方がいいこと

否→ 世に蔓延る陰謀論