シシガシラ・浜中英昌さんによる連載『脇田 in WONDERLAND』。この話、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが虚構?
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脇田さんのいびき
その日は、ルミネtheよしもとの本公演3ステだった。2公演目が終わり、次の3公演目までゆっくり楽屋で休んでいると、奥の方から聞こえてきた。
「ごぉぉ〜、すー、………、ごぉぉ〜すー」
脇田さんのいびきだ。いや、トドの鳴き声だ。いや、脇田さんのいびきだ。
脇田さんは気絶したように1時間ぐらい楽屋で爆睡していた。
次の日。
M-1ツアー大阪。
2公演目と3公演目の間の楽屋。
「ごぉぉ〜、すー、………、ごぉぉ〜すー」
トドだ!!いや、脇田さんだ。
この日も1時間くらい寝ていた。さすがにまわりにいた芸人が集まってきた。脇田さんを起こすために色々やって、起きた後マユリカ中谷とロングコートダディ兎が脇田さんに質問した。
「脇田さん寝てる時無呼吸ですよね?」「え?」「シーパップ始めたほうがいいですよ?」「まじ?」「僕達無呼吸なんでシーパップやってます」
なんとなくそんな会話が聞こえるなか、僕はタバコを吸いに楽屋を出た。タバコを吸い終わり、トイレに行き、楽屋に戻る。
「シーパップやったほうがいいですよ」「そうかぁ〜」「早めにやっとくべきですよ」「なるほどねぇ」
まだシーパップの話してる。。
3公演目までまだ時間があったから、後輩を誘って街にくりだした。梅田駅のほうまで30分ぐらい歩いて、喫茶店に寄り、またフラフラ歩いて楽屋に戻った。
「シーパップやるべきですって」「本当にぃ〜?」「絶対したほうがいい」「う〜ん」
まだシーパップの話してる。2時間ぐらいは話している。
3公演目の漫才出番が終わり、その足で僕は喫煙所に行く。脇田さんは先に楽屋に向かっていた。
タバコを吸い終わり、楽屋に戻る。
「シーパップやりましょう」「どうしようかなぁ」「僕たちを信じてください」「本当に必要?」
おい、どんだけシーパップの話してんだよ!!
大阪の出番を終え新幹線で東京へ。
新幹線2時間半の移動だったので動画でも観ようと思ったそのときだった。斜め前の席がなんか騒がしい……
「シーパップ試しで一回どうですか?」「試し?」「はい、とにかく一回病院行って診てもらうだけでも」「でもなぁ〜」
信じられない……中谷と兎はシーパップから金貰ってんのか?そんで脇田さんも早くやれよ!!そのまま東京駅に着いた。
シーパップしましょうよ
次の日。
劇場の出番だったので、支度して家から向かった。劇場の楽屋に入る。
「シーパップ最高ですよ?」「効果あるの?」「ありますよ」「どうしようかなぁ」
うそだろ!!ここ幕張だぞ?
こいつらもしかして、大阪からそのまま一晩東京で三人で過ごして、翌日幕張まで来てるのか?楽屋ではずっと三人でシーパップの話をしていた。
次の日。
休みだったので僕は後輩達とゴルフに行った!朝からゴルフは本当に気持ちいい。
「絶対シーパップ始めましょう」「高いでしょ?」「そんなことないです」「でもなぁ……」
マジかよ……ありえない……自分達の後ろの三人組グループが、脇田さん・中谷・兎だ……え、、幕張終わってそのまま一晩三人で過ごしてゴルフしに来てんのか?て、ことは大阪→幕張→ゴルフ場?ずーーーーっと三人で?よく見るとゴルフはやらずに、ただシーパップの話をしてコースを回っていた。
次の日。
この日も休み。2連休2日目。なので部屋の掃除をしたり映画観たりととにかく部屋でゆっくり過ごしていた。
「シーパップしましょうよ」「したほうがいい?」「間違いないです」「う〜ん、困ったなぁ〜」
隣の部屋から聞こえる……どういうこと??隣の部屋??ついてきてるってこと?
怖くなって急いで部屋を出た。
僕は急いでお寺に駆け込みお祓いしてもらった。その後部屋に戻ったら、もう声は聞こえなかった。
それから三人のシーパップの話は一切聞こえなくなった。
今、皆さんの近くでこの三人組がシーパップの話をしているかもしれない……
もし声が聞こえたら、すぐお祓いしに行ってください。絶対に会話に入らないようにしてください……仮に会話に入ってしまったら……
作者プロフィール
シシガシラ・浜中英昌
吉本興業 所属
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