2024.07.16

「ご機嫌に生きる」とはスキル。“魂の逃げ場所”から考える可否。【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」10杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

7月の可否

佐野元春さんが改名したい名前は『隼ジェット』。
どうも、ヤーレンズ出井です。

ごきげんでいることもマナーだなぁ思う昨今、皆様いかがお過ごしだろうか。なんか自分だけは不機嫌丸出しでもいいだろと思ってる不遜な輩っているよね。7歩ごとに靴紐解ければいいのに。

自分は精神も肉体もやや低い位置で安定していて、良くも悪くもあまり波が無い。なので、常に意識して少し上げて、ごきげんでいることを心がけている。

しかし、こっちがあまりごきげんでいると、根っからごきげん野郎だと思われることがあるので、それはそれで腹立たしい。

『ご機嫌に生きる』とはまさにスキルで、それは今までの人生で培い磨いてきたもので、そこをちゃんと分かってほしいものだ。「こいつ、ごきげんでいいなぁ…」ではなく「こいつ…スキルフルだな…」だ。

精神を高く保つ為にも、魂の逃げ場所は多い方がいい…まあ平たく言うと心から楽しめる趣味は多いほうが良いと思う。

僕自身まあまあ趣味はあるのだが、昨今、それぞれのコミュニティの独立性が上がっている様に思う。

昔なら娯楽と言えば相撲に野球に映画で、テレビにしたってみんな同じものを観ていたようなものだったが、今は違う。例えばアニメ大好きな人はアニメに夢中で、他のこと全然知らないし、アニメ通の中では当然のこともそれ以外の人には全く通じない。お笑い好きな人が固唾を飲んで見ているM-1も意外とみんな見てない…みたいな。

趣味が多いゆえにいろんなコミュニティの情報が入ってくるし眺めているが、そのコミュニティによって、平和だったり殺伐としてたり、様々だ。

僕の大好きな趣味の一つはコーヒー。コーヒーマニアたちのコミュニティは比較的治安は良くて、そして大変マニアック。カフェにいると、同じくコーヒー好きの方に声をかけていただくこともあるが、皆様かなり丁寧。大好きコーヒー。

他の趣味としては格闘技鑑賞もあるのだが、誰かが「格闘技とカードゲームのコミュニティは荒れている」と言っていた。本当にその通りだ。（カードゲームは知らないが）

違う選手のファン同士が揉めたり、見ているだけで気分の悪い言葉が飛び交ったりが日常茶飯時。なので、自分はRIZINの観戦に行ったり、UFCもファイトパスを買ったりするが、あまり公言はしないようにしている。

よくチェックしているヒップホップコミュニティもまた揉めがちだが、まだ内容が建設的というか、興味深いものが多い。先日も「韻を踏まないラップはヒップホップか否か」みたいな論争がかなり広がりを見せていて面白かった。コーヒーやヒップホップはジャンル全体が発展中で、「みんなでいろんな可能性を検証中」みたいな状態でもあると思うので、そこがいいのかも。

さて、私が本格的に所属しているお笑いコミュニティだが、個人的には、他に比べてかなり平穏だと思う。なにかあったらすぐ芸人がいじるからか、もしくは他のジャンルから流れて来た人が多いからなのかは分からないが、お笑い特有の「笑いになっちゃえばOK」の特性もあって、とりあえず平穏だと思う。

……なんて書いてる最中に、お笑いオタク（?）がいじられるぽい事案がいくつかあった。

結構無理解なこと言う側の人間なのにこんなこと言うのもなんだが、みんな揶揄されてもそんなに深刻に受け止めなくていいよ。

あんのよ、芸人は。

「ここでなんか言わなきゃ！」

みたいな瞬間が。

だからドカーンとワードだけ走っちゃうことがどうしてもある。で、訳分からないと思うけど、その辺の弁明もあんましたくないみたいなのもあるから。みんな、あまり深刻にならずに。

全員根底にはジャンルを支えてくれていることへの感謝があるので、お互いそれありきで、大変手前勝手で申し訳ないが、気楽に参ろうじゃないか。なんたって趣味なんてのは魂の逃げ場だから。

※「界隈」っていう言葉がなんか嫌いなので使わずに書いたらめんどくさかった！

～7月の可否～

可→意識してごきげんでいる奴

否→なんか不機嫌な奴、正しく評価できない奴、ジャンルの足引っ張る奴