『脇田 in WONDERLAND』~第6話~ ドール物語(作:シシガシラ 浜中 英昌)

シシガシラ・浜中英昌さんによる連載『脇田 in WONDERLAND』。この話、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが虚構?

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鳥形と靴下

脇田ママとご飯行ったときのお話。

脇田ママが東京に遊びに来るということで、一緒に夜ご飯に行かせていただいた。
行ったのは、恵比寿にあるオシャレなお店。
美味しい料理を食べながら脇田さんの幼少期のいろんな話を聞く中で、ひとつ引っかかるエピソードがあった。

「ひろゆきはちっちゃいとき、ものすごく背が小さかった。小さすぎてひろゆきに合う靴下が売ってなくて、家に置いてあった人形が履いてる靴下をひろゆきに履かせていた

人形の靴下。

それから半年後。

仕事で、脇田さんの実家に行くロケがあった。いろんな話を脇田ママから聞いていると、あることが判明した。

脇田ママは鳥のような、でも鳥ではない大きい人形と最近毎日会話をしているらしい。人形と会話。

そして、脇田さんに靴下を貸していた人形はもう脇田家にはいなかった……

数年前のこと……
脇田ママが、鳥のような鳥ではない大きい人形(以下:鳥形)を買ってきた日。
焦る、靴下を貸してくれていた人形。(以下:靴下)

鳥形「ふ〜ん、ここが今日から俺が住む家かぁ〜」
靴下「誰だ?」
鳥形「なんだお前?」
靴下「俺はこの家に住んでるもんだ!」
鳥形「へぇ〜小さいなぁ〜」
靴下「うるさいやい!」
鳥形「お前はこの家でなにしてんだ?俺は今日から脇田ママのお相手だ!」
靴下「おいらはここでひろゆきくんに靴下を貸しているんだい」
鳥形「ハハハ ww 靴下を貸すだ?可哀想な役割だな」
靴下「なにが可哀想なんだ?」
鳥形「いいか!人間っていうのはどんどん大きくなる。そのうちお前は不要になるんだよ!」
靴下「黙れ!!」

それからというもの、鳥形と靴下は毎日毎日喧嘩をしていた。

そんなある日、靴下がいつも通りひろゆきくんに靴下を貸したときだった。

よいしょ、よいしょ、入らない……

日に日に成長していたひろゆきくん。
靴下の靴下はもう必要なくなってしまったのである。

その日の夜の出来事……

いつも通り鳥形と靴下が喧嘩をしていると……

ガタンッ!!ガタンッ!!

え?

靴下が急に倒れたのである。

鳥形「おい、どうした急に!いよいよ不必要になって倒れちまったのか?」
靴下「はぁはぁはぁ」
鳥形「おい!!」
靴下「はぁはぁ」
鳥形「冗談だろ?起きろよ」
靴下「はぁ……はぁ」
鳥形「おい!起きろって!勘弁してくれよ!!」
靴下「………」
鳥形「おーい!!靴下!!誰か!!誰かー!!!」
靴下「……楽しかったよ……あり……がと……う……」
鳥形「靴下ーーー!!!!」

次の日……
靴下はこの家からいなくなった。

鳥形は泣いた。カラカラになるまで泣いた。喧嘩相手がいなくなることがこんなにも寂しいなんて……

鳥形は後悔していた。本当はもっと仲良く暮らしたかった。すぐ喧嘩してしまう自分が情けなかった。

この日から鳥形は今日まで脇田家を必死に守っている。
靴下の分まで……
次に新しい人形がくるその日まで……

作者プロフィール

シシガシラ・浜中英昌

吉本興業 所属

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