漫画『若い』(原案:GAG福井俊太郎)【畠山達也「ゲイニンマンガ ~ボツネタ再生工場~」2024年9月号】

GAG福井×畠山 おまけトーク

畠山達也(以下、畠山): 本当に久しぶりにお会いしますね。

GAG福井俊太郎(以下、福井): そうだね。

畠山: 中央線の電車内で2回くらい偶然会いましたけど(笑)、ゆっくりお話するのは久しぶりです。

福井: 2~3年ぶりかもね。

畠山: しばらくお会いしてないうちに、GAGさんが解散されて。

福井: 安田とは会ってる?

畠山: 安田とは会ってます。安田がGAGさんに入るとき、電話で「報告なんやけど、GAGに入ることになった」って。最初わけがわからなくて、「えぇ!?」となりました。

福井: そうかぁ。

畠山: 同期がGAGさんに入るっていうのが、すごい……

福井: 急に聞くとびっくりするよね。

畠山: 僕的には「良かったな」っていうのが一番です。

福井: お互い。

畠山: お互い?

福井: GAGも安田も、お互いね。

畠山: そうですね、良かったなと思いました。

福井: ひろゆき(ヒロユキMc-Ⅱ)が抜けて、さらに安田が入って。まぁ、最初はついていけないよね。

畠山: 最初は混乱しました(笑)。最近はどんな感じですか?

福井: 楽しくやってる。単純に、友だちが入った感覚やから。

畠山: 僕が前に組んでいたシチガツは相方の浮田が元漫才師だったんで、コントをしてもらうのがけっこう大変でした。ずっと浮田は“浮田”として漫才をしてきたのに、コントではいろんなキャラになってもらわないといけない。安田もずっと漫才をやってたんで、大変じゃないですか?

福井: 俺らは全然大変じゃないけど、安田はやっぱり、めっちゃ大変そう。

畠山: 福井さんやSJさん的には、違和感はない?

福井: 違和感っていったらあれやけど、安田が「頑張ってるな」っていう……なんだろな、今までコマンダンテでは脱力系漫才をやってたわけやんか。それが今は、絶叫系コントをやってもらってて。急激なキャラクターチェンジだから、まだ本人もつかみきれてないんじゃないかな。

畠山: でも、ちょっと前に安田はひとり芝居をやってたじゃないですか。あれは良かったんじゃないですか?絶叫系とは違いますけど、今までやってきたこととはまったく違うことをやってたじゃないですか。

福井: 気持ちの準備としては良かったと思うけど、演技に関しては、また全然違うかもしんないね。ひとり芝居をやってたときの安田は、芝居というより「安田がトークしてる」みたいな感じだったから(笑)。だから、演技は大変そうかなぁ。

畠山: 人が変わればネタの作り方も変わると思うんですけど、変わりましたか?

福井: あて書きするようにはしてるけど、まだ“こっから”って感じかなぁ。まだ、コントライブで5本ネタやっただけやから。「レギュラー放送になる前に特番やる」みたいな、そんな感じ。こっからようやく、かたちを探っていく……という。

畠山: 手ごたえ的には、想定してた感じでしたか?それとも想定外でした?…………なんかすみません、久しぶりに会って、矢継ぎ早にいろいろ聞いて(笑)。

福井: いやいや(笑)。なんだろうなぁ。意外と、安田が下ネタを言ってもお客さんがそこまでドン引きしない。引いてはいるけど度合いが低くて、嫌悪感までは行ってない。だから、安田が入ったことによって、ちょっと下ネタっぽいコントもできるようになったかな。

畠山: じゃあ、この三人になったことで新境地がひらけた?

福井: それはあるかも。

畠山: たしかに、コマンダンテで下ネタ言ってるところ、一回も聞いたことないですね。

福井: あ~……。実はコマンダンテを組んでいた最中、あの男のなかで“下ネタ期”っていうのがあったの。

畠山: そんな時期があったんですか。

福井: 下ネタばっかり言ってるときがあった。

畠山: そんな……(笑)。

福井: イメージとしては、反抗期みたいな感じ。

畠山: 相方に対する?

福井: それはわからない。たぶん、「自分という芸人に対しての反抗期」みたいなことだったと思う。昔の自分に対するアンチテーゼみたいな感じで下ネタをずっと言ってて、ずっとスベッてた。その時期は平場で下ネタを言って、かなりアンチが増えてたね。で、俺らと組んで、初めてネタでピンク的な要素を入れてみたんですよ。それがけっこうね、スッと馴染んだ。新しいGAGの形としてやれるかなと思ったね。

畠山: 福井さんはずっと「三人でやりたい」って言ってましたよね。三人でやりたいというこだわりは、芸人になる前からあったんですか?

福井: 三人しかやるつもりなく来たから……こだわりというか「それしかやるつもりじゃなかった」という感じかな。

畠山: すごいですね。

福井: 二人と三人は別物ですからね。二人でのコントもちょっとやったけど、あれは別の競技だったね。

畠山: 別の競技っていう感覚があるんですね。自分は三人でやったことないんでわからないんですけど、けっこう変わるんですか?

福井: 二人だと、けっこうボケ優先になっちゃうイメージがある。ストーリーや人間の感情というより、「面白い会話をずっとしとかないといけない」みたいな。二人だとずっと“お笑い”をしとかなきゃいけないけど、三人だったら人間関係で笑いをとれる。わかりやすいボケは基本的に必要にならないから、別の競技に思えたね。

畠山: 二人になった時期があるから、余計「三人でやりたい」って気持ちが大きくなったんですね。

福井: だから、安田がいてくれて良かったよね。安田がいなかったら、どうなってたかわかんない。

畠山: GAGさんに入ってなかったら、安田もどうなってたか……

福井: やめてたと思う。

畠山: お笑いをですか(笑)?精力的にひとり芝居とかやってるように見えたけど……

福井: あれは“お笑い”ではなかったからね。どっちかというと、表現みたいな感じ。だから、お笑いはやめてたと思う。

畠山: 最近の安田は、すごい動きが速いですね。同期として見てた感じだと、昔はもっと遅いというかマイペースで、流れに乗っかっていく感じでした。

福井: ま~、いろいろ思うことあったんやろな。東京に来て。

畠山: そうですね……。福井さん、今日はお時間いただきありがとうございました!またよろしくお願いします。

漫画:畠山 達也
構成:堀越 愛
協力:秦 法爾
サムネイル:つるみ32

PROFILE

畠山 達也

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・note:https://note.com/hatatatsu112429/
・YouTube:ハタタツチャンネル


~作品情報~

●読切りマンガ『凡太は普通に生きている』(少年ジャンプGIGA 2016 vol.4)
●読切りマンガ『しろすぎ!アクノソシキ』(週刊少年ジャンプ/2016年11月)
『未読無視してんじゃねぇよ』(原作:畠山達也、作画:杠憲太)
●『山田夢太郎、外へ行く』(原作:畠山達也、作画:修行コウタ)
『カスミの地味な未確認生物的返済生活 1巻』(原作:クロスバー直撃・前野、作画:畠山達也)