『脇田 in WONDERLAND』~第11話~ 番外編:M-1 2024を終えて 【シシガシラ 浜中 英昌】

シシガシラ・浜中英昌さんによる連載『脇田 in WONDERLAND』。いつもは “相方・脇田さんが主人公”のショートショートを配信しているこの連載。今回は特別編として、『M-1グランプリ2024』を振り返るコラムを公開します。

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M-1 2024を終えて

心が動く。普段波がほとんどないのだが、この時期はとにかく心が動く。波がない時は意識せずに平常心なのだが、この時期は常に平常心でいようと思っている時点で色んな感情に持っていかれている証拠である。

去年も沢山の感情に襲われた。

準決勝に進出したという喜び。決勝に行けなかった自分への怒り。敗者復活戦で上がれなかった哀しみ。漫才ができるという楽しさ。

他にも細かい感情は沢山ある。

仲間が決勝に行った喜び。仲間と一緒に決勝に行けなかった怒り。仲間が敗退する哀しみ。仲間を応援する楽しみ。

もっともっと細かい感情はあるがキリが無い。

ただ、いろんな感情が毎秒入れ替わる日々を過ごして、最終的に残った感情は「悔」。

後悔とはまた違う。あの時ああしてれば良かったとかは一切無い。なぜならしっかり準備していったつもりだから。仮にネタが滑りまくったとしても、自分がしっかり準備していったのなら後悔はない。2023年の敗者復活戦と決勝でネタを変えたことに対しても、後悔は全く無い。敗者復活戦と同じネタで行けば良かったなんて、この1年間、1ミリも思ったことがない。準備して覚悟を持って真っ直ぐ挑んでいるから。

じゃあ「悔」とはなにか。

この場合の「悔」は、あの決勝の場所にいたかった……自分達があの場所にいないという現象に対しての悔しいという感情である。

後悔をして、しっかり復習して、次に繋げるような頭の良さじゃない。過去を気にせずその場の感情を次に繋げるレベルの頭だということ。その方が自分が生きやすいということ。

最近、漫才に対しての考えが少し変わった気がしてる。今まではとにかくM-1で結果を残すためだけにやっていた。M-1で結果を残すために。M-1が1番遠いけど実はシシガシラにとっては1番の近道。とにかくM-1のために……もちろんそれは大事なこと。

ただ、最近は自分が楽しくなかったら意味無いのかなとも思っている。準決勝のネタ、敗者復活戦のネタ、この2つは脇田さんと笑いながら作ったネタだった。なので決勝はいけなかったが満足している。

いや、楽しくなかったら意味無いとかそんなのは売れてから言え。結果出してる人が言うセリフだろ。調子乗んな。そう思ってる自分もいる。この2つの浜中の意見のバランスが崩れないように必死に保っている。

芸歴や年齢がこういう考えを産んでいるのかもしれない。

早めにM-1で結果を出したいと思っている。理由は簡単である。あと、9回M-1に出られる。いや、出れてしまう。これはなかなかの地獄だ。一瞬、あと9回出られるなんてラッキーと思うが、少し考えたら地獄じゃねーかという気持ちになる。優勝するか、M-1に出ることがリスクと思うぐらい売れまくる以外は、9年間戦わないといけないからだ。

もうひとつの理由は、年齢だ。2024年のM-1準決勝メンバーの中で、最年長が脇田さんで俺が3位。今後、近い世代の仲間がどんどん卒業していって周りが後輩だらけになってしまう。地獄だ。

現に、令和ロマンというまだまだ若い奴らが2連覇した。これは本当に凄いこと。純粋に尊敬した。ただ、あいつらのせいで今後優勝しても、1回しか優勝してないからなぁと思ってしまう。ふざけやがって。いい加減にしろ。でもそう思わせる令和ロマンは本当に凄い。

令和ロマンのような頭は無いし、自分にそんなキャパも無い。あんな風になりたかったが無理だ。でもそれでいい。漫才において大事なのは自分を知ることだと思う。自分を知り、自分の合ったやり方でしっかりやっていく。

これから先も漫才は続く。一生続く。いろんなやり方があるし、いろんなゴールがある。ゆっくりゆっくりやっていこうとは思わないが焦りすぎずにやっていこうと思ってる。

これからも応援していただけると嬉しいです!!もういいよ、どうもありがとうございました。

筆者プロフィール

シシガシラ・浜中英昌

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