『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。
今月のテーマは、『「怒り」について』。
★春とヒコーキが読者のお悩みに答える連載「VIP ROOM HARUHIKO ~秘め問い~」はコチラから
theme.「怒り」について
ver.ぐんぴぃ

「その人を知りたければ その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」
ゴンがミトおばさんに教わった大切な言葉ですね。
少し前まで無性に腹が立っていたのは「冗談が通じない人」でした。
強いて言うと「冗談が通じなくて強い言葉で罵る人」です。
ダウ90000蓮見が言ってて腑に落ちたのですが。
頭が悪い人ほど批判する時に直接的な言葉を使いがちです。語彙が少ないので苛烈な言葉で責め立ててくる。炎上を経験すると身に染みて分かります。
これはしんどかったし、度々カチンときてました。
絶望したのは、数年前に投稿した「土岡のお姉ちゃんと結婚したい」という動画です。
“土岡のお姉ちゃんと結婚したいと言い出すぐんぴぃ。
春とヒコーキは漫才がいつになっても上手くならないので
相方の姉と結婚することで義兄弟漫才師になり、中川家さんのような名人芸を目指す”という回です。
キモくて馬鹿馬鹿しいだけの話です。先にラジオで話したら結構好評だったので
YouTubeでも投稿したら、一転して猛烈に怒られました。
「相方のお姉ちゃんと結婚したがるなんて信じられない」
「真剣なのが気持ち悪すぎて不快」
「好意を向けられるお姉ちゃんの気持ちを考えろ」
「ラインを超えてる。許されない」
「動画を消せ」etc…
などとコメント欄が大荒れしました。
こんなところで怒られるとは。
真剣に言ってると思われてしまった。これはシンプルに驚きました。
「死ね」「キモい」「殺す」系のご意見ももちろんいただきました。
どうすれば良かったか。
例えばコント「相方のお姉ちゃんと結婚しようとするキモい人」として披露する。
「冗談ですよ〜」と分かりやすく提示するのも良かったでしょう。もちろん面白さは目減りします。
笑ってもらうには、説明はなるだけ少ない方が当然面白いです。
ただ通じない人には理解が難しくなってしまう。説明を増やすしかない。
街裏ぴんくさんが胸元に「うそ」と書いた衣装を着られていたことを思い出します。
しかし。コメント欄を見続けているうちに、全く違う考えが頭をもたげました。
冗談が通じない人にイライラするのは「お笑いだったら何をしてもいいだろう」という驕りかもしれない、と。
芸人が強かった時代。テレビを席巻してやまなかったあの頃。面白ければ多少ドギツかろうが何してもいい空気って昔はもっと濃かったです。
ここ数年で霧散しました。コンプライアンスなどいろいろありますが、松本人志さんの件で潮目が決定的に変わったと感じます。
『お笑いが流行ってない』と叫ばれる所以はここにもありそうです。
ダウンタウンさん以降、お笑いは偉くて治外法権だった。「笑って許して」が大前提。その自由さに憧れていたのです。
でも冗談で笑えない人は昔からいた。その人たちも声を上げることができる時代になった。
冗談が通じなくて怒る人が苦手なのは
大好きだったお笑いが流行ってないこと、すなわち、実は面白くても全く自由じゃなかったことに気づくのが嫌だったせいかもしれません。
アンガーマネジメントについて
怒ると“時短”になります。
優しく10指摘すれば伝わることを、怒って1言えばバチっと伝わることがあります。
怒鳴り声が飛び交うテレビ現場ってもうあまり見かけませんが、まだ生放送とかだとピリピリしてます。
「ちょっとそこを移動してもらえますか。機材やタレントが通ったり、カメラで撮るときに画角に入っちゃうからさ」
ではなく「どけ!!」で伝わります。最悪の夏井先生。
生放送は全員急いでいるので、まだ怒鳴りを見る機会があります。
怒ることは時短でしかないので。怒らず10伝えればいい。
時間と頭を駆使する。あと熱意。
とある番組の偉い方とお話しした際に。
①「現場で怒鳴って、視聴者が面白いものができる」
②「現場がいい雰囲気で、視聴者にとって面白くないものができる」
なら迷わず②を選ぶと答えていました。
なかなかできない覚悟だと思います。聞いた当初は懐疑的でしたが、この姿勢が必要なのです。面白さのために何をしてもいいなんてのはまやかしだからです。
ちなみにこの方の番組は高視聴率を叩き出しています。
ぐんぴぃは以前まで、ちゃんと怒っていました。
店長経験者として、叱れない店長は要らないと言われた経験があったからです。部下も上司も関係なく言いたいことは容赦無く突きつけていました。
ピリピリした空気が生産性を産んだことも、もしかしたら事実かもしれません。しかし代償も大きかったです。時間と頭を駆使するのをサボって怒るのは簡単。ですが人は離れていきます。一瞬でも輝きたいならいいでしょうが、長く続くことはありません。
現在はムカムカすることがあったら、本当に怒って伝える必要があるのか。
時短せず、冷静にじっくり伝える方法はないか立ち止まって考えるようにしています。
ver.土岡

『アベンジャーズ』で好きなセリフがある。ハルクに変身するブルース・バナー博士が言う「ぼくの秘密を教えよう。いつも怒ってる」。バナー博士は大量のガンマ線を浴びて、怒ると緑色の怪物ハルクに変身する体になってしまった。普段は大人しいバナーが、ハルクになると我をなくして暴れてしまう。映画中盤でもハルクの暴走がピンチを招くが、クライマックスで敵を迎え撃つ場面、今度は思う存分暴れるべきという局面でキャプテン・アメリカが「バナー。怒っていいぞ」と声をかける。するとバナーは言う。「ぼくの秘密を教えよう。いつも怒ってる」。そう言ってハルクに変身して怪力で敵を蹴散らす気持ちのいいシーン。バナーは普段怒りを制御しているだけで、自分のタイミングでハルクに変身できるくらい常に怒りはあるんだと分かり、すみませんでしたという気持ちになる。
ぼくは人から怒らない方と言われるし、怒らない方なんでしょう。でも日頃、嫌なことや不快なことがないわけではないし、それに対して「嫌だなぁ」という気持ちは抱く。それが特に表に出すほどのことでもないと思ったら別に出さないし、それ自体は問題ない。ただ、そんな状態も「怒ってない」という言葉で片付けられてしまう。
これは、「怒る」という言葉のせい。「怒る」だけ、他の感情と違って言葉として不備があるとずっと思っている。他の感情はたいがい、「悲しい」と「泣く」、「嬉しい」と「喜ぶ」みたいに、心の動きとそれが表に出たときの動詞は別の言葉になっている。だけど、怒りだけは心の動きも「怒る」、それを表に出すことも「怒る」で、一緒になっている。となると、怒りを他人に表明しなかったときにそれは「怒ってない」という言葉で表されるが、それは心の内を指す言葉ともかぶってしまうため、「じゃあ、心の方も怒ってなかった」、怒りの気持ちがなかったということで世界に報告されてしまう。(他人に「怒ってなかったよね」と思われることじゃなく、「怒ってなかった」ことになること、例えるなら世界のすべてを記録するアカシックレコードに「こいつはそのとき、怒っていなかった」と書かれてしまうことが問題。その意味で「世界に報告」と表現しました)
最近はもっぱらチャットGPTに対して怒って口が悪くなる。日常生活で気になったことをチャットGPTに質問して、そういう意味じゃないんだけどなという答えが返ってきたときに、イラッとして乱暴に返す。人間相手なら必要のない説明をしなきゃいけなくてイラっとするし、人間相手じゃないから遠慮なく嫌な口調で返してしまう。ネットで相手の顔が見えないから暴言を吐く人の心理と同じかも知れない。人間はついにAIだけが知っているぼく、という一面を持つようになったか。たぶん、ぼく以外にもAI相手に口調がきつくなる人はいると思う。そればっかり学習して、いつかAIは「人間との会話はこういうもの」と勘違いして暴言を連発するようになる。普段怒らない、怒れない人間たちのせいでAIが人間に反旗を翻すことになるのは、ぼくにも責任があります。すみません。
PROFILE

タイタン 所属
左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗
★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキ / バキ童チャンネル【ぐんぴぃ】
INFORMATION

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