【トット インタビュー(後編)】M-1に挑む原動力は、悔しさと自信。スベり続けた2年を経て、今「漫才は負けへんと思ってる」

この夏、『M-1』決勝を目指すトットが新しい取り組みをはじめる。7月末から3ヶ月連続の『事務所交流漫才ライブ』を実施するほか、stand.fmで『コゼリアイラジオ!』がスタート。衣装と宣材写真も一新し、さらに7月5日(水)15時からは公式YouTubeチャンネルも本格始動した。

高校時代に出会ったふたりは『M-1』に憧れ芸人を志した。コンビ歴は14年。目指す頂に挑戦できる期限は、あと2年。トットは今、新たなスタート地点にいる。活動のすべては、憧れの舞台に必ず立つため。あらためて『M-1』と向き合い始めたトットに、今の想いを聞いた。

★インタビュー前編:「漫才を見てほしい、知ってほしい」 M-1戦士・トットの新しい挑戦

頑張ることをやめた人間に先はない

———インタビュー前編では、お客さんにウケることだけでなく「自分たちがおもろいと思えること」を重視したネタづくりに変えたというお話をされていました。やり方を変えてお客さんにウケるようになるまで、どのくらいかかりましたか?

多田智佑(以下、多田): 2年半くらいはスベリ続けましたね。

桑原雅人(以下、桑原): スベってましたね~。でも「“ウケに”は行かんとこ」と決めてたので、「自分たちがおもろいと思えること」に全振りでやってました。

———2年半スベるって、だいぶきつそうですね。

多田: いや~、きつかったっすよ~(笑)。

桑原: ライブ終わって、毎回1時間以上ケンカしてましたね。

多田: お前のあっこが悪い、ここが悪い、と。

桑原: 社員さんからしたら、はよ帰れやと思ってたでしょう(笑)。

多田: はよ片付けて帰りたいよな(笑)。お客さんに笑ってもらえるようになってきたのは、去年の終わりくらいかな。

桑原: ちょっとずつ上手くなったんか、掴みだしたんか。前につくったネタをやっても、今のほうがウケます。

———自分たちが「おもろい」と思えることでウケるようになってきたなら、今は楽しいですか?

桑原: めっちゃ楽しいですね。すっごい楽しい。けど、どこに行っても「M-1にこれから行くんだろう」という話題の若手がいるし、いつも一緒に出てるメンバーもすごいんですよ。GAGは『キングオブコント』決勝に行ってるし、囲碁将棋さんは『THE SECOND』決勝に行った。寄席に出ても、まわりは結果を出してる人ばっかりなんですよ。「おもろいならええやん」ではなく、やっぱりずっと悔しいんです。全国の賞レースで決勝に行けてない。

———大阪のコンテストで賞を獲っていても、悔しいものですか?

桑原: 理想は、大阪の賞を獲って『M-1』も獲って、売れること。東京では特にその重要性を感じますね。

———同期のDr.ハインリッヒさんやガクテンソクさんなど、ファイナリストにはなっていなくとも『M-1』ラストイヤー後も活躍している方がたくさんいますよね。そういう方々を見て「決勝に行けなくても芸人は続けていけるな」みたいに思ったりはしませんか?

多田: 「そういう道もあるんかな」とは思うんですけど、出られる芸歴である以上は憧れがあります。「M-1がダメでもほかの仕事があるわ」は、ない話かな。『M-1』観て「ここで漫才したい」と思ってこの世界に入ったので、頑張らん理由はないやろ、と思います。

———『M-1』に憧れたことが、芸人をはじめるきっかけなんですね。

多田: 僕らが高1のときに、はじまってるんすよ。

桑原: めっちゃ覚えてますよ。多田さんからガラケーにメールが来たこと(笑)。「M-1かっこええな」みたいな。

多田: 2003年くらいですかね。「フットさん見た?」「笑い飯さん見た?」って、メールでやりとりしましたね。こいつ(桑原)はお笑い好きやから『M-1』がなくても芸人になってたかもしれないけど、僕はこの世界に入ってないと思います。こいつとお笑いの話をいっぱいして「じゃあ行こうか」ってなってるんで、そういう意味でも憧れは強いですね。
あとやっぱり、ハインリッヒもガクテンソクも『M-1』で手を抜いてないじゃないですか。一生懸命頑張ったうえで、今があるんです。どっかで頑張ることをやめた人間に先はないと思うので、やっぱり走り続けないといけない。それから、同期だとミルクボーイが優勝してますからね。悔しいですよ。駒場と一緒に住んどったこともあるし……悔しいっすね。

トットの約束「溜めずにしゃべる」

———今「悔しい」という言葉が出ましたが、おふたりが『M-1』に向かう原動力はなんですか?

多田: 一番は「悔しさ」ちゃいますか?

桑原: あと、やっぱり「自信」があるからですね。漫才は負けへんと思ってるし、見てもらえたら絶対に「おもろい」って思ってもらえる自信があるのが強いかもしれないです。予選はもちろんですけど、やっぱり決勝で見てもらいたい。「おもろいでしょ?」って。

多田: うんうんうん。

———自分たちが本当に「面白い」と思える漫才ができるようになって、今はなおさら自信がありますよね。

桑原: そうですね。地獄の期間を抜けて、今は胸を張って「おもろいでしょ?」「知ってください」っていうところに来てます。

———そう考えると、大阪時代がトットさんの第1章、東京の地獄期間が第2章だとして、今は第3章に入ったイメージでしょうか?

桑原: マネージャーが変わってあらためて話し合い、「M-1の決勝に行きたい!という想いをちゃんと伝えていこう」となりました。第3章に入ってますね。

———いろんな変化があるなかで、コンビの関係性に変化はありますか?

多田: 大きくは変わってないですけど、昔よりもちゃんと思っていることを言うようになりました。

桑原: めっちゃしゃべるようになりましたね。前はいろんなことをなんとなくやってたけど。

多田: お互いに大人になったのもあるんですけど、20代のころはただただケンカしてました。人間性を批判するだけの揉めだったけど、今は仕事をするうえで「こうなったらこうなるやんか、だからこうやんか」と建設的なケンカができてる気がしますね。

桑原: 1個だけルールを決めてるんですよ、「溜めずにしゃべる」って。いろんな人を見てきて、すごい面白かったのにケンカして解散するって、やっぱり溜めてるからかなって思って。僕らも大ゲンカしたこと何回かあるし、溜めてたら危ないなと。

多田: でも、これも東京に来たからやと思います。大阪のときはなんとかやっていけてたし、大阪にいたままだったら多分やってないと思います。東京に出てきたら「売れるか辞めるか」っていう極端な二択。となったら「ケンカすんのしんどいわ」とか「これ言うたらめんどくさなるやろうな」を溜めてるほうが後々ヤバいことになるって思うんで、それなら先に潰しとかないとって感じです。

売れていく仲間の背中を見ながら

———大阪時代と比べて、ネタも関係性も変化があったんですね。今「東京に来てよかった」と思えていますか?

多田: めちゃめちゃ思ってますね。

桑原: めっちゃ思います。

多田: そら、遊ぶ分には大阪のほうが楽しいですよ。友達多いしお店もいっぱい知ってるし。でも仕事をするうえで、どっちも楽しいけど、東京のほうが新しい仲間ができたし”チャレンジ”できることがある。進化ができているって意味で、やっぱり東京に来てよかったなと思いますね。

桑原: 大阪では、やりやすいところでやらせてもらってたんやなって思います。こっちでは常に「誰やねん」状態だし、甘かったなと。みんなにいじってもらって進化したなって、すごい感じます。

多田: 自分で言うのはあれですけど、深みが出たような気がします(笑)。

———お話を伺ってると、トットさんの芸人人生で今がもっともバランス取れている感じですね。

桑原: 漫才は今がいっちばん楽しいし、そうかもしれんな。

多田: 芸歴もあるし、いろんな経験もして、やれることも増えたなと思います。

桑原: こっちに来てから、みんなどんどん売れていったなぁ。前は、オズワルドやコットンとめっちゃ一緒に出てたのに(笑)。なぁ。

多田: うん。同じ年に上京したアインシュタインさんとか蛙亭とかも。

桑原: 最近だと、あんまり会わなくなってきたな。

多田: 僕らの1年後に上京した見取り図も、大阪のときはずっと一緒におったのに今なんてほとんど会うことない。「大阪おったら良かったのに」みたいな意見もらうこともようあるし、悔しいですよ。みんなメディアで活躍してるのに……。「見返したい」って想いも、原動力になってるんやろうな。

———今がトット第3章のはじまりだとして、第4章に行くためにはなにが必要だと思いますか?

多田: 絶対に『M-1』決勝っすね。決勝に行く。あそこに立つ。

桑原: そうですね。みんなに知ってもらって、『M-1』決勝に行く。これが直近の目標ですね。

★インタビュー前編:「漫才を見てほしい、知ってほしい」 M-1戦士・トットの新しい挑戦

PROFILE

トット

左:多田智佑
右:桑原雅人

★公式プロフィール:https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=3379
★公式YouTubeチャンネル:トットチャンネル
★stand.fm:トットのコゼリアイラジオ!

文, 編集:堀越 愛

撮影:ヘンミモリ

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