トットがM-1戦士を呼び漫才を強化するライブ、ファイナルのゲストはヤーレンズ&ストレッチーズ! ≪『3ヶ月連続事務所交流漫才ライブ』終演直後インタビュー≫

2023年7月から行われたトットの『3ヶ月連続事務所交流漫才ライブ』、第3回となる9月22日(金)のゲストは、ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)&ストレッチーズ(太田プロダクション)。

ヤーレンズとストレッチーズは、いずれも若手を牽引する実力派漫才師である。2022年『M-1グランプリ』は揃って準決勝進出。敗者復活戦ではそれぞれのカラーで爪痕を残し、今年の活躍が期待される2組である。

ライブでは、2本ずつネタを披露。お互いのネタを舞台袖から見守るという、少々緊張感のある構成だ。本来はネタ後にトーク&即興トリオ漫才を行う予定だったが、ネタパートが盛り上がりすぎて想定外(……?)の流れに。トットの3ヶ月連続「漫才強化計画」は、大盛り上がりのまま幕を閉じた。

ライブ終演直後、3組による対談を実施。本番中には語られなかった、核心を突くような言葉でライブを振り返った。

過去イチでした?

トット・多田智佑(以下、多田): 今日はほんまにありがとう!

ヤーレンズ・出井隼之介(以下、出井): チケット完売でしたよね。

ヤーレンズ・楢原真樹(以下、楢原): 過去イチ盛り上がりました?

多田: それは言いにくいやろ(笑)。

楢原: 聞いときたいです。

多田: いやらしい質問ぶちこんでくんなよ(笑)。

楢原:  今後のモチベーションになるんで。カナメストーン・ママタルトよりは良かったと、オフィシャルでください。

多田:  なんでやねん。お前らはニヤニヤできるけど、今後俺らが気まずいやんか(笑)。

トット・桑原雅人(以下、桑原): 第1回のカナメんとき、俺らがめっちゃ緊張してガチガチになって、それに気付いたお客さんもガチガチになってん(笑)。だからカナメが漫才の途中で、「トットさんのね、お客さんね、こんくらいのボケじゃ笑えませんよね~」って。

7月27日(木)、ヨシモト∞ドーム ステージⅠにてカナメストーンとのツーマンが行われた(参照:https://wluck-park.com/interview/15531/

多田: 情けないけど、カナメがほぐしてくれてん(笑)。だから、全部盛り上がったよ。……なんで楢原残念そうやねん。

楢原: やっぱ、一番が欲しかったから……。

8月27日(日)、ヨシモト∞ドーム ステージⅠにてママタルトとのツーマンが行われた(参照:https://wluck-park.com/interview/16074/

ストレッチーズ・高木貫太(以下、高木): あの、今回だけゲスト2組ですよね?

ストレッチーズ・福島敏貴(以下、福島): 1組だけじゃ、ちょっと?

多田: 違う違う、会場が無限大ホールやからや(笑)。おっきい場所やし、ゲストを増やしたほうが良い盛り上がりになるんじゃないかということで、2組にさせてもらいました。

楢原: だったら、過去イチ盛り上がってる?

桑原: 絶対に過去イチが欲しい?(笑)

撮影の際、自然と後列ボケ・前列ツッコミに

待ちの顔が面白い

桑原: 今日はいろんなお客さんが来てたのを感じたな。初めて俺らを見た人もいたんやろなって。

多田: ほんまにそうね。普段とは違う感じがあった。

出井: ほんとっすか?やったかいがありましたね。

多田: ほんまにありがとうやわ。

高木: 僕らもそうでした。

福島: そもそも無限大ホールに出ることがそんなにないんで、ほんと新鮮でしたね。

高木: 満員の無限大ホールに立たせてもらえるってだけでも、他事務所の後輩からしたらめちゃくちゃありがたい。

多田: そうなんや。結構出てるイメージあったわ。

桑原: うん。うれしいな。

トットはヤーレンズのことを「パープーズ時代から知ってる」。ヤーレンズもトットのことを「ハスキーボイス時代から知ってる」。トットとストレッチーズはほぼ初対面

多田: 2組を見てたら、全然緊張してる感じせえへんもんな。「たくましいな」と思ったわ。

桑原: 2組の様子を見たから、2本目からは俺らもリラックスできた(笑)。

出井: 俺らの様子を見て(笑)。

桑原: やっぱ、お前1本目かたかったで。

多田: それで言ったらお前もかたかったで。

桑原: 嘘やん。

多田: ほんまほんま。

桑原: 「こいつめっちゃ緊張してるやん」って思ったで。

多田: 俺も同じこと思った。「こいつめっちゃ緊張しとるやん」って。

楢原: 良くないな(笑)。

出井: でもわかる。なんか、迎えるほうがちょっと緊張しますよね(笑)。

多田: 今日はネタ2本ずつやらしてもらったけど、最後時間が無くなっちゃって。ヤーレンズのネタが長かったから。

出井: え?

多田: ヤーレンズ、2本目10分やっとったで。

出井: え、でも、みんなそこそこ長かったでしょ。自分たちが「3分」みたいな顔しないでくださいよ!

高木: それはたしかにそうなんですよね~(笑)。

出井: みんながちょっとずつ長くなった結果じゃないですか?

本来、ネタ各2本・トーク・即興トリオ漫才2本を行う予定だった。しかし各コンビのネタを終えた時点で、残り時間5分……

高木: ヤーレンズさんは本当に狂ってるんですよ。尺の概念が狂ってる。以前、名古屋のライブで一緒になったことがあるんですよ。1公演目が普通のネタライブ、2公演が長尺ネタライブだったんですけど、1公演目で13分やってたんすよ。「この人たち次のライブどうするつもりなんだろう」って思ったら、18分やってました(笑)。

多田: すごいな!

出井:  言うなよ、お前。よそでのびのびしてることを、トットさんにバラすなよ!

多田: 今日でバレてるから(笑)。

桑原: ちょっと恥ずかしかってん。ホストが緊張して、逆にはしゃがんって(笑)。

楢原: 1本目終わったときに、なんでホストがこんなにガチガチなんだろうって思いました(笑)。

多田: 後輩たちが楽しんでくれてる!俺達も楽しませていただいて良いのか?ってなった(笑)。

出井: 今年、何回かライブご一緒してますよね。いろんなネタ見ましたけど、今日の2本見て「トットさん完全に強化しに来てるな」って思いましたよ。だから多分、ファンの方もうれしいんじゃないですか?

高木: 今日、無限大の舞台袖あたりで全ネタを見させてもらったんですよ。多田さんの表情がめっちゃ見える角度にいたんですけど、マジで面白かったっす。多田さんの顔(笑)。トットさんのネタってもちろん何本も見てるけど、僕そういうイメージ無くて。特に2本目の多田さんの顔、かなり面白かったですね~。

楢原: だからね~、ほんと、前向いてやったほうが良いですよ。

多田: ほんま?

桑原: 「顔で漫才してる」って言われると、めっちゃうれしいねん、この人。技やから。

福島: 片方がしゃべってるとき、セリフがない側の佇まいって難しいじゃないですか。でも、多田さんは待ち姿がマジで一番面白い。僕も相方が長いツッコミしてるときに待ってるんですけど、自分は気を抜いちゃうんで。

高木: ただの待ち?

福島: ただの待ち。

桑原: 俺ボケてんのに、誰も見てないやないか(笑)!

高木: 桑原さんが面白いこと言ってるけど……多田さんの待ちの顔!!!!!ってなります(笑)。

“都内某劇場”には、ストレッチーズの等身大パネルが置かれている。撮影時にどうしてもかっこいいポーズができなかったふたりは、トットの写真を参考にポーズを決めたという

楢原: 顔はね、絶対見せたほうが良いですよ。

多田: ほんま?やらしいかなと思ってた。でもたしかに、待ちが長いことは多いからな。だから俺、大助師匠をめっちゃ見たんよ。

一同: あ~~~

多田: とにかく待ちが長いから、そのときどんな顔してるんやろうって。

楢原: 花子師匠がずっとしゃべってるからなぁ。

多田: そう。「こんな顔したらおもろいんや」とか、いろいろあった後の大助師匠の「あ」だけでおもろいんやとか。でもまさか、顔について言われるとは思わなかった(笑)。

福島: 顔のバリエーションもすごいです。たとえば、ボケてる桑原さんに対して「なんなんだコイツ」みたいなしかめっつらをしつつ、ちょっと笑ったりもするんですよ。

高木: そうなんですよ!マジで、桑原さんは……ほんとに面白いだけなんですけど。

桑原: 最高やないか!!

楢原: 最高のコンビ!!

桑原: それ以上のことないで!!

多田: うれしいし、恥ずかしさもある(笑)。道連れにするのはあれやけど、とろサーモンの村田さんの顔もおもろいで(笑)。顔は大助師匠と村田さんでけっこう勉強させてもらったな。

楢原: 所作って大事ですからね~。

出井: むちゃ大事っすよ。

多田: ほんまは、ライブ中にこういう話をすればよかった(笑)。

出井: 「福島がいかに即興漫才下手か」って話しかしてなかった。

福島: ほんとに……。実際、多田さんと即興漫才やらしてもらって、すごいご迷惑おかけして。

多田: いや、そんなことないよ(笑)。

出井: ご迷惑!(笑)

福島: 配信無くて、よかったです。

時間が無かったため、予定を変更して福島と多田による即興漫才を実施。テーマは「遊園地」

多田: でも楽しかった。

福島: ほんとですか!

多田: うん。普段桑原とやってるときより、頭使ったような気がする。

福島: たしかに。僕、脳トレ要素あるんですよ。

出井: やかましいわ(笑)。

高木: 良いように言うな!

楢原: 福島を面白くするためには、頭使わなきゃいけない(笑)。

多田: テーマが「遊園地」だったのに、漫才はじまって最初「消防署」って言ったときは「え、なんで。なにがしたいの?」って思った(笑)。「水をかけられたい」って言ったとき「どうやって遊園地に持っていけるんやろう」と考えて、「アトラクション的なことが好きなんやなぁ」って。

即興漫才中の様子。多田は普段以上に頭を使ったという

福島: あれはありがたかったです。

多田: 今まで、あんなに脳みそ使ったことない。

高木: あれ、「遊園地」っていうお題なのに「遊園地じゃないことを言えばウケる」っていう考えしかないんですよ。

福島: こう言ったらツッコミがどう思うかとか、困るかとか、わかんないんですよ。なんか言っちゃうんですよね。

多田: あ~、そうなんや。

楢原: 多田さんが振って、ボケるべきときに「そこはボケないんかい!」というのもありましたね(笑)。まぁそれが福島の良いところだから。今日は遺憾なく発揮されてたな。

即興漫才は、特別に見守られ形式で行われた

福島: 今日はもう、のびのびと。だいぶ楽しくやらせていただきました。

楢原: キャッキャしてたな~。

出井: トットさんのおかげで、すべてのびのびできました(笑)。

多田: ありがとうやわ~

即興漫才をガヤを入れながら見守る4人

M-1 2023に向けて

桑原: 俺らはネタ見て、だいぶ気合入ったな。

多田: いや、ほんまや。

桑原: 2組がウケまくるから。これはちょっと頑張らなって思いながら見させてもらった。

楢原: 僕らは、あのネタを7分削れば良いだけ。

出井: そうそう、あと7分。

多田: 逆に聞きたいわ。どこをどう尺調整するねん。

出井: まぁまぁ。最終的に、早口でまくしたてればなんとか。ぎゅっと。

楢原: でも今でも早口使っちゃってるから。早口したうえでの10分だから、どうしよう(笑)。

高木: ヤーレンズさんは毎年けっこうご一緒させてもらってますけど、ダウンを着だすくらいまでは7分尺ですね(笑)。

残り時間が5分しかないにも関わらず「即興トリオ漫才2本やろう」と言い、高木から「いっぱい漫才したでしょ!」と怒られていたヤーレンズ

多田: そこまでのびのびやってんねや。

高木: ダウンやコートを出すくらい時期くらいまでは、のびのび。

楢原: だから、毎年調整ミスするんですよ。もっと早めにやろうっていう気はあるんですけどね。

高木: でも去年は、3回戦くらいからめっちゃキレイに仕上がってて。「ヤーレンズさんがもう3分ネタ仕上げてる!!!」ってびっくりしました。

多田: ヤーレンズが普段と違う動きをし出したら、まわりもドギマギするな。

桑原: ストレッチーズは、しっかりためるやん。ボケずに頭にきちっとしゃべって。

多田: お客さんも見てて、ぐーっと集中力が上がっていってるんやろなっていう。

桑原: ああいうネタをやりだした当初は怖かった?

高木: いやー、難しいですね。武智さんにも「すぐに一発目の掴みを入れたほうが良い」とアドバイス貰ったりしたけど、全然思いつかないし。……僕らがそうなんですけど、トットさんも見た目にインパクトがあるふたりではないじゃないですか。トットさんって、高校の同級生なんですよね?それ、むちゃくちゃ納得できる。NSCで組んでたら、こんな見た目にインパクトのないふたりは組まない!(笑)僕らも同級生同士ですし、見た目にインパクトのないコンビに聞くとだいたい同級生。

多田: NSC入ってからやったら、選ばんもんね。

トットのストレッチーズへのイメージは「福島がななまがり森下さんに激ハマりしている」。ハマった理由は「嘘つきだから」(参照:https://wluck-park.com/interview/11310/

高木: プロなるぞって決めて入ったら、自分にないものを持ってるヤツとかトリッキーなヤツ同士とかで組むと思うんです。トットさんと僕らを同じにくくったら失礼かもしれないですけど、見た目にインパクトがない漫才師ってだいたい同級生なんですよ(笑)。仲が良いから一緒に入ってきただけ。

多田: めっちゃわかる。

桑原: めっちゃそうやなぁ。「なんかちょっとでもインパクトがほしい」と思って、気付いたらタキシードを着てた。

トット宣材写真

楢原: いや、桑原さん。足りないですよ。

出井: 丈が長いですよ。

多田: どっちかといったら、足りてへんのはお前や(笑)。

ジャケット比較用

高木: インパクトがない、その上でさらに溜めるってけっこう勇気がいるというか。

出井: お客さんの集中力持つのかな?って思っちゃうもんね。

高木: そうっすね。けっこう悩んでます。

多田: ほんま難しいよな。

出井: 難しいっすよね。

多田: ヤーレンズは、一発目のボケめっちゃ早いよな。

出井: うちはめっちゃ早いですね。

楢原: 僕は、不安に耐えられないんで(笑)。

桑原: ノーモーションでボケるもんな。フリが無くてもボケる。

出井: そうですね。ノーモーションすぎて、「今のはこういうボケだったんですよ」って説明してようやくウケることありますもん。

楢原: 説明してくれてる間に次に行っちゃって、ウケない(笑)。でも我慢できない。

出井: たまに舞台上で怒るときあります。「俺、1個目まだやってっから!」って(笑)。「ツッコミ終わってから次行って?」と。

楢原: 待てないですね~。

桑原: アドリブも多いもんね。

出井: 多いっすね。

ヤーレンズは即興漫才が得意。かつてK-PRO×吉本興業で開催された即興漫才バトルでは、何度も優勝経験がある

桑原: 『M-1』のときもアドリブ出てまうの?

出井: あ、ありましたね。去年の三回戦だったかな。アドリブ出ても無視しましたけど。

楢原: 「無視された!」と思って、すごい悲しかったです。

多田: ああいうときってさ、マジで半々よな。イラっとする確率(笑)。

桑原: そうそう。去年の二回戦で、なんか急にアドリブでつかみを入れたの。

多田: 俺が前のコンビをいじるみたいなヤツな。

桑原: そう。ウケてんけど、勝手なギャンブルしてくれてんだもん。スベったらどうしてくれんねん。ウケたから良いけど。

多田: ウケたから良いやん(笑)。こっちもドキドキはしてるからな。

高木: めっちゃ悩みます。僕らは、アドリブは賞レースでは絶対禁止です。どちらかというと、福島がやりたくない。

福島: 僕は、即興漫才できないんで……。

楢原: 急に言われてもね(笑)。

K-PRO×吉本興業の即興漫才バトルで、福島はダイタク・拓と組みぶっちぎりの最下位をとったことがある。初対面だったにもかかわらず、漫才後に福島は拓から100個ダメ出しをされた。1番言われた言葉は「なんか言おうぜ」

高木: 去年『M-1』の準決勝で、僕らの前がさや香さんだったんですよ。免許返納のネタだったんですけど、僕らも「免許」っていうワードが出てくるネタだったんです。あの場で初めて免許返納のネタを見て、「うわ、けっこう免許がキーワードだな。俺らもキーワード免許だな」と。だから、袖で「なんか免許ばっかりだな!くらい言っても良い?」って確認したら、ガチガチの顔で「いらない」って(笑)。まぁまぁ、いらないかと(笑)。

福島: そうなんですよね。二番煎じにならないかなとか、笑いが下回っちゃうかなとか悩みました。

多田: 「これ言ったら多分ウケるだろうな」っていう算段はあるけど、ウケを取るのか作品性を取るのかってなったときに「余計なことはせんほうが良いんやろうな」とか。そう思ったりもすんねんな~。

高木: 今年の『ABCお笑いグランプリ』最終予選、僕らの前がオフローズと友田オレで、この2組がめっちゃウケてたんです。で、自分たちのネタ中、この2組に比べると「ウケ足りねぇな」って思っちゃって。僕がばーっと動く「ファミレス」のネタをやったんですけど、たまたまパッと立った足元に「かが屋」ってバミリがあって。それが面白くなっちゃって、このタイミングで下見て「かが屋のバミリある。今日かが屋出るんすね、楽しみっすね」って言ったら絶対ウケるだろうなと思ったんですよ。現状ウケてないし言ってみるか、と思ったけど、さすがにと思って言わなかったら結局決勝に行けたんです。だから「言わなくて良かった」と思って(笑)。

福島: アドリブって一番ウケたりするから、そこだけウケたときに差を見せたくないというか……。

桑原: でも、それ言いたいな(笑)。

終演直後、舞台上にて

多田: 楢原は我慢できなさそうやな。

楢原: 僕はたぶん、言っちゃいますね(笑)。

出井: だから、コントに閉じ込めてるんです。

楢原: 漫才コントに入ったら、キャラから降りれないですから。

出井: さすがにね、降りたらエライことになるから(笑)。

高木: 絶対ライブでこんな話したほうがよかった(笑)。

楢原: ね。でも今日はネタの最後に入れちゃったね。漫才コントだけど「入れられそう」と思って。

多田: 綺麗な入れ方してたな~。ヤーレンズのことは昔から知ってるわけやんか。あれ見たとき、「漫才うまなったな~」って思ったわ。そら、長いことやってるもんなぁ。

楢原: それはうれしいな。

出井: 後輩なんで生意気ですけど、俺もトットさんのネタ見て「今めっちゃネタと心のバランスが合ってる感じする」ってすーげえ思いました。俺らとは全然違う時の流れがあったわけじゃないですか、山あり谷あり。それを経て、今は合ってる。

桑原: 三年前ぐらいはもう、ぐちゃぐちゃなってな。

多田: なってたなってた。

出井: なんか、桑原さんが“怒り”で笑いをとれるようになって「これは強いだろうな」という。

桑原: うん、以前は舞台ではやってなくて、楽屋に帰ったら「あれちゃうやろ」とか怒ってて。で、まわりが「こっちがおもろない?出したほうが良いんちゃう?」みたいな感じやったね。

楢原: たぶん、年齢ですよね。もうちょっと若かったら、イケメンが怒ってるのあんまり見てられない(笑)。「そんなヤツに言われても!」っていう。いや~、めちゃめちゃ苦労されたんだろうなぁ~。

トット: (笑)

楢原: みてくれは絶対良いほうが良いんだけど、やりたいことと合ってくるまで時間がかかりましたね~。

出井: 桑さんの、あの発声ね。奥歯を噛んだまま「なんでやねん!」っていうの、めっちゃ上手い。ああいうのできるのが強いっすよね。

多田: いや、ほんま……こういう話をするべきやったんやろな(笑)。

楢原: 福島が即興漫才できないからだ!!

出井: お前のせいだよ!!

桑原: いや逆に、ありがとう。舞台でしてたら、めっちゃ照れてもうてたから(笑)。

多田: いやー、楽しかった。わざわざ来てもらってありがとう!

出井: またやりましょう!

文, 編集, 撮影:堀越 愛