2021.10.04
【YOAKEMAE芸人】〜file.18 海老車〜 コント革命家・テレビマン・嫌われる才能!?バランス力抜群の『大学芸会』準優勝トリオ
『さらば青春の光 東ブクロの学生芸人YOAKEMAE』(ラジオ関西)、10月3日放送のゲストは「海老車」。『大学芸会2021』準優勝のトリオで、大根さん・佐伯さんは法政大学お笑いサークルHOS、中村さんは慶応義塾大学お笑い道場オーケイズに所属しています。結成数ヶ月で準優勝まで上り詰めた彼らに、収録の感想やそれぞれのエピソード、学生のうちにやりたいことなどたっぷりお話を聞きました。
ホストファミリーに嫌われて……
――収録は楽しかったですか?
中村 俊介(以下、中村): めちゃくちゃ楽しかったです。
大根 勇樹(以下、大根): 楽しかったなぁ。ただただ、楽しかった。
中村: 「海老車」は三人ともお喋りで、ネタ合わせで集まってもずっとベラベラ喋ってる感じなんですよ。最後にチャッとネタ合わせするだけで。プロである東ブクロさんがまわして話を引き出してくれて、ほんと楽しく喋れました。
――いつものお喋りに、MCが入ったみたいな。
佐伯 暸(以下、佐伯): ほんとにそう。
大根: いつもはぐちゃぐちゃになっちゃうんですけど。
中村: それを東ブクロさんが仕切ってくれて。
佐伯: しっかりいじるところはいじってくれるし、嬉しかったですね。
大根: 毎回いてほしいです。東ブクロさんが毎回いたら最高(笑)。
――収録で話しそびれたことはありますか?
中村: 野球の話をしたかったです。俺のお笑いを育てたのは、オーケイズの野球部だから。
――以前出演した「馬並バトルタイプ」さんは、野球じゃなく「もっとお笑いに集中したい」※と言ってましたね。
※参照:【YOAKEMAE芸人】~file.15 馬並バトルタイプ~ オーケイズに入るために慶應を目指した!? 2年生の実力派、目標は『大学芸会2022』優勝!
中村: あれ、逆なんですよ。本当に面白い先輩たちと野球を一緒にやることで、野球部の中でお笑いの基礎を学んでるんですよ。フリオチとか。これ、ほんとなんですよ。「令和ロマン」の高比良(くるま)さんとか「ブラウン管ベイビー」の水島(龍)さんとかもいて。
――野球部で、お笑いのどんなことを教えてもらうんですか?
中村: 背中を見て育つというか、言葉で伝えられたわけではないです。馬並も、野球で三振したときの山下(真湖)の顔が面白いって話になってから、コントで“顔”を使うようになったんですよ。
大根: 確かに。顔使ってるわ。
中村: 先輩たちが後輩をいじってくれるんで、「俺ってこういうところが面白いんだ」って気付けることがあります。お笑いです。野球は。
大根: 無理あるけど(笑)。
中村: 僕、オーケイズの先輩たちに「野球の話しろ」って送り出されてきたんで。『学生芸人YOAKEMAE・オーケイズ野球部』回もやりたいって言ってました。
大根: 無理だよ(笑)。
中村: 先輩たち20人くらい呼んで……
佐伯: 東ブクロさんでもまわせないよ(笑)。俺は中村のラグビーの話をもっとしたかったですね。(収録で披露した話も)確かに強かったけど、あのレベルの話がごまんとあるんで。中村のフォーカス回を作ってほしいな。ラグビーのエピソードだけで30分、絶対できるんですよ。
――中村さんなら、一人で呼ばれても大丈夫?
佐伯: 絶対大丈夫。
大根: 最初は「ほんとにこいつ、おもろいんか?」と思ってたんですけど、初めて中村と電話したときに、全部のラグビーエピソードを話してきたんですよ。それでゲラゲラ笑っちゃった。
佐伯: おもろすぎるから。
大根: それで組んだ、みたいなところあるんで。
――エピソードを話した「東ブクロさん、部費ください!」のコーナーでは、最高金額の1,000円が出ましたね。
佐伯: まぁ、それは絶対、中村が大手テレビ局に行くからだけどな。1,000円あげて好印象を持たせて。
中村: いや、俺は出演者をもっとドライに見るから(笑)。けど、けっこう話したかったことは話せたかな。割と気楽に(収録に)来ちゃって。ちょっと前に俺らのラジオ(HIKIGANEラジオ )があったんで、「案外ラジオいけそうだぞ」みたいになっちゃって。変な自信がついて。
佐伯: あれがちょっと練習になった。ラジオってこんなに堂々と話して良いんだってなって。今日めっちゃやりやすかったな。
中村: だから、手ぶらで来ちゃいました(笑)。
佐伯: あ、でも留学の話したかったな。
中村: あぁ、確かに。
佐伯: 留学先のホストファミリーに嫌われ過ぎて、家の中に住まわせてもらえなくて、車庫に住んでました。(留学先の)ニュージーランドの家ってすごい広くて、庭があるんですよ。で、トイレが家の中にあるんですけど鍵開けて入らないといけなくて、面倒くさいじゃないですか。だから俺、庭でおしっこしてたんです。1年半経ったら、庭が半分枯れるっていう(笑)。庭、半壊。土を丸ごと変えないといけないくらい、アンモニアで草が枯れちゃって。その家だけ草が無いみたいな状況になってたんですよ。その話したかったですね。
中村: 佐伯はこれまで、各地でいじめられてきたんですよ。
大根: 各コミュニティで絶対にいじめられる。
佐伯: そのいじめられエピソードを溜め込んでます。
――今のサークルではいじめられてないんですか?
大根: 面白いからいじめられてないですけど、面白くなかったらいじめられてます(笑)。
中村: でも佐伯が大学2年のとき「学生R-1」優勝したんですけど、HOSのやつら佐伯が優勝したことに納得してなくて。普通、同じサークルのやつが優勝したら「良かったなぁ!」みたいになるんですよ。
佐伯: 普通なら「おめでとう!」って俺を囲むと思うんですけど、みんなのところに行っても10mくらい離れたところにいて……。
中村: 遠巻きにしてたんですよ。珍しいものを見るみたいに。
佐伯: 俺、泣きながらお母さんに「やったよ!」みたいに電話してたんですけど、それもケラケラ笑って見られてて……なんだこれ。
――なんでそんな……。
佐伯: なんでなんですかね。
大根: 普通に腹立つんですよ。最後が“おもしろ”で終わってくれるんで良いんですけど、中高時代はそれが無かったから。
中村: お笑いサークルだから許されてる。
佐伯: 高校時代は海外にいたんで、お笑いとか無いんですよ。いかに明るく喋るかみたいな……活発に喋ってても、いじめられてたんですけどね。外国人にも嫌われる要素があったみたいです。
大根: 才能だね。
佐伯: これは才能ですね。
大根: お笑いにも活かせてるしね。腹立たしい顔。
佐伯: 良かったです。活かせて。いじめられエピソードなら、わんさかあります。
偶然のおもろが多い
――『大学芸会』決勝、中村さんは「海老車」だけでしたが、大根さんは「琥珀」、佐伯さんは「リバイアサン」としても出場していましたね。このときはどういう心境でしたか?
中村: 嫌でしたよ。「海老車」の予選は、期間中の最終日だったんです。佐伯と大根は最初のほうの日程でポンポンと決勝決まって。俺だけ上がれないって可能性もあるから、めっちゃ緊張しちゃって。そしたら、こいつらから「中村、追い込まれてんなぁ」みたいなLINEとか来て……めちゃくちゃ嫌でした。決勝当日、「琥珀」も「リバイアサン」も「海老車」より先に1本目が終わったんですよ。そしたら「やりきった」みたいな顔で感想言い合ってるんですよ。俺が「練習しようよ」って言っても、「いや、ちょっと」みたいな。ゆっくりしてて。ずっと嫌。
大根: 気付かれはしない程度だけど、ちゃんと失敗したな。
佐伯: 俺もミスっちゃった。
大根: ベストパフォーマンスではなかった。
中村: ウケたから良かったけど、ずっと嫌ですよ。
大根・佐伯: (笑)。
中村: 決勝行くってめっちゃすごいことなのに、相方が二人とも2コンビで進んでるせいで……なんて言うんですかね。格落ちポジションみたいな。
大根・佐伯: (笑)。
中村: 「まぁ、中村は大根と佐伯と組んでるからね」みたいな。お前らに引っ張ってもらって決勝に連れていかれたみたいになって。
大根: まぁ、客観的に見たら。
中村: 客観的に見たら、じゃねぇよ。
佐伯: 今年、オーケイズ(慶應)から決勝行ったのって中村だけなんですよ。だから中村がオーケイズを背負ってるんですよ。
中村: そうですね。だからほんと……もっとすごいことなのになぁって。
佐伯: ほんと、すごいことなんですよ。
中村: なのにこの二人のせいで……。
大根: ちょっと霞むね!
中村: ちょっとどころじゃないよ。佐伯がワンツーフィニッシュ※したのもあって、どんどん霞んでいってるんですよ。
※佐伯が所属する「リバイアサン」は1位、「海老車」は2位に入賞
大根: 俺もテレビ(大学お笑いMONSTERS/テレビ東京)出たしね。
佐伯: それも優勝※して。
※大根は「琥珀」として『大学お笑いMONSTERS』に出演し、コント部門で優勝した
中村: 二人ともいろんなコンビで結果出してすごいな、みたいな。なんかもうねぇ、嫌ですよ。
大根・佐伯: (笑)。
中村: 僕もね、面白いことできるぞって言いたい。
佐伯: でも、これは反論させていただきたくて。
中村: 反論!?「面白いことできるぞ」に!?
佐伯: 中村はもう1個「ぎゃるズ」ってコンビを組んでるんですよ。予選の「ぎゃるズ」のネタ、入りも良くて面白かったんです。俺らも「あるんじゃないか?」って期待して観てたんですけど、中村がネタ中にいきなり「ははははは!」って笑ったんですよ。
中村: 「ははははは!」は言い過ぎ。
佐伯: 「ふぁははは……」って笑ったんですよ。みんな「え?」ってなって。そこからウケるわけないじゃないですか。後から聞いたら、噛んだと思って笑っちゃったって言うんですけど、噛んでないんですよ。
大根: 怖すぎる(笑)。
佐伯: 怖すぎる!これはもう、(「面白いことできるぞ」に反論されても)しょうがないじゃないですか。
中村: いや、それは俺のせいだけど、これと海老車で霞んでるのは話が違う!
大根: でも、海老車の初舞台のときも……
佐伯: あはははは(笑)!!!
大根: 緊張感を作って一気にドーン!って笑いを取るネタだったんですけど、最初の重要なフリのセリフで……
佐伯: 「我が社のネジを使ってください!」みたいなすごい重要なセリフ。
大根: 8回噛んだんですよ。
佐伯: 「我がや、あ、わっ……」8回噛んだんですよ。
大根: で、最後に「えっとぉ」って。終わりだよ。
佐伯: 続けられるわけなくて、「すいません!」って1回止めてやり直して。ウケるわけないじゃないですか。初舞台で滑った。
――でも、それ半年前くらいですよね※。その数か月後に『大学芸会』2位ってすごいですね。
※「海老車」が組んだのは2021年3月
中村: まぁ、ちょっと噛んだだけなんで……。
佐伯: でも俺、そのとき「ほんとに大丈夫かな」って思った。
大根: その後のライブでも、無駄にジャケット持ってきて……。
佐伯: うぁはははははは(笑)!!!
大根: ネタの途中でジャケットを落として、そのあと走り回ったらジャケットで滑って顔からダーン!って転んで、バウンドして、そのまま立ったんですよ。
佐伯: これマジで面白い。
大根: 顔見たら、血がたらーって出て。ウケるわけない。
佐伯: 眼鏡も吹き飛んで。俺と大根は「止めるか!?」って思ったんですけど、中村がセリフ言ったんで「続けんのかい!」って(笑)。
大根: ウケないウケない!血出して!
中村: でもそれで続けたのすごくないですか!?
――そうですね(笑)。プロ根性ですね。
大根: アスリート。
佐伯: 意識飛んだんでしょ?
中村: パッ!って目の前が真っ白になって。立ったら俺の前を走ってたはずの佐伯が後ろにいて、大根は目をまん丸にして俺を見てて、右を見たらお客さんがいて……「ネタだ!」って思って続けた(笑)。
佐伯: 血が出てて笑えるわけねぇだろ(笑)。
中村: でもあれは事故じゃん。噛んだのは俺のミスだけど!
大根: 偶然のおもろが多い(笑)。
佐伯: 一切、手とか使わないで立ったんですよ。
大根: バウンドだけで(笑)。
コント革命家「漫才やりたい」!?
――将来は、大根さんはプロ志望、佐伯さんと中村さんは就職ですか?
大根: そうですね。
――佐伯さんも、「大きな機会があれば」プロになるかもと言ってましたね※。
※参照:【YOAKEMAE芸人】〜file.17 リバイアサン〜 駆け抜けた夏!『大学芸会』優勝コンビのこれから
佐伯: そうっすね。
大根: 『NOROSHI』で優勝したら……
佐伯: そしたら絶対(プロに)行く。
中村: 僕はテレビマンになります。
大根: でも最近決めたよね。迷ってたよね。
中村: 迷ってましたけど、僕は芸人さんが楽しくできる場所を(テレビマンとして)作るほうが良いのかなぁって思って。
大根: かっこよく言い過ぎ。
中村: いやでも、ほんとにそう思う。大根と佐伯にも、プロ行ったら売れてほしいって思うし。
大根: これがね~厄介なんだよね。このスタンス。
中村: どういうこと!?厄介って。良い話じゃん!
大根: 「味方ですよ~」みたいな。
中村: 味方よ!?俺は!お前らが芸人になってお金が無くて電気止まったら、うちに泊まりに来ていいし!良い話じゃないっすか!
佐伯: 胡散臭い。
大根: テレビ局員のクセに胡散臭い。
中村: テレビ局員は胡散臭いだろ、軒並み。知らねぇけど。
佐伯: お前もその一員になるんだよ。
中村: いやほんと、僕はそう思ってますよ。今一緒にやってる仲間がみんな売れたら良いなと思います。なんでそれを疑われなきゃいけないの!
――大根さんはプロになってもコントを続けるんですか?
大根: いや、漫才やりたいです。
中村: えぇ!?
佐伯: 嘘付けよ、お前。革命家※じゃないんかよ。
※大根は自身を「大学お笑いのコント革命家」と自称している
大根: 漫才は、やっぱ良いですよ。
――「コント革命家」とまで言ってるので、コントに命懸けているのかと……(笑)。
大根: まぁまぁまぁ。
佐伯: 大根が組んでるもう1個のコンビで漫才やってるんですけど、『大学芸会』の予選で「1.8%」だったんですよ。決勝に上がるパーセンテージは大体82%以上とかで、敗者復活ラインが60%くらい。
中村: 才能がないです。
大根: 1.8%……。
佐伯: 漫才ガチガチに作って、1.8%ですよ。衣装3万円くらいしたんでしょ?
大根: 総額はそんなもんだろうね。
佐伯: コントだよ、大根は。当たり前だけどコントだよ。
大根: 漫才できない、ってわけじゃない。
佐伯: ……と言ってるけどねぇ。
中村: プロになってなにしても良いんだけど、「漫才やりたい」は変だよ。コント頑張ってほしいですよ。
――びっくりしました(笑)。
佐伯: 僕もびっくりしました。
大根: ……まぁ、コント革命家ですよ。
佐伯: あー良かった良かった。戻ってきた。
中村: ……良かった!?「コント革命家ですよ」で!?
佐伯: いつもの大根です。
全員「お笑い戦闘狂」
――「海老車」として、大学生のうちにやっておきたいことはありますか?
佐伯: 「海老車単独」じゃない?
中村: 単独ライブはマジでやってみたいな。
佐伯: 「海老車」で5本、俺と大根のコンビ・大根と中村のコンビ・俺と中村のコンビで3つと、3人のピン1回ずつ。で、ガチガチに順位付けてやりたいですね。三人でバチバチのバトルしたい。
大根: 良いねぇ。
佐伯: これはマジで良いよな。
中村: なんで単独ライブなのに戦うんだよ。
佐伯: いやいや、お前も乗り気だっただろ。
中村: 三人とも乗り気なの変だろ。誰かは言っておかなきゃいけないだろ。
佐伯: いや、三人とも戦闘狂なのが一番良いんだよ。
中村: 気持ち悪いよ。
大根: あ、僕、「コント革命家」の前は「お笑い戦闘狂」って名乗ってたんですよ。
――元「お笑い戦闘狂」?
大根: 元「お笑い戦闘狂」、現「コント革命家」。
中村: 目的もなく刃を向いてたのが、今は「コント」っていう背負うものができて。
佐伯: いつ変わったのかは分からなかったけど(笑)。
――大根さんはけっこう尖ってるタイプなんですか?
中村: こんなこと真っ直ぐ言うやつ、尖ってないですよ。
大根: でも大勢いると、ちょっと尖っちゃうというか……。
中村: 「倒す」とか。勝ち負けでお笑いを見てる節があります。
大根: まぁまぁ、今はそんなじゃない。
佐伯: 落ち着いてるね。
中村: 大根は外から見ると尖ってるように見えますけど、いざ喋ると可愛い子ぶったりします。
佐伯: なんなん?良いじゃん別に。
中村: お前、大根なんか!?
佐伯: 良いじゃんなぁ。可愛い子ぶったって。
大根: 俺が言うセリフ全部、佐伯が言ってる(笑)。
中村: 今日のお前、俺に突っかかりたいだけじゃん!
佐伯: いや、遊んでるだけ(笑)!
中村: 良いよそんな、保険みたいなセリフ……。
――バランスの取れたトリオですね(笑)。
中村: それしか言うことないっすよね、俺らって。
大根: バランスしかない(笑)。
取材・文 堀越 愛
PROFILE
<海老車>
法政大学「お笑いサークルHOS」(佐伯、大根)
慶應義塾大学「お笑い道場O-keis」(中村)
左:佐伯 暸
中:大根 勇樹
右:中村 俊介
『YOAKEMAE』海老車 出演回
法政大学「お笑いサークルHOS」情報
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慶應義塾大学「お笑い道場O-keis」情報
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