2021.10.18
【YOAKEMAE芸人】~file.19 ガングリオン ~ 「彼をもっとコントロールできるようになったらすごく強いものが生まれる」将来有望!大阪から“ニン”の漫才師が登場
『さらば青春の光 東ブクロの学生芸人YOAKEMAE』(ラジオ関西)、10月17日放送のゲストは「ガングリオン」。関西を拠点に活動する、現役大学生の男女コンビです。メンバーのクボは「ふわり春」「くまねこ」というコンビでも活動しており、それぞれの相方もリモートで番組出演しました。また、クボは関西発芸人ユニット「WEST ANTS」※の一員でもあり、定期的に東京遠征をするなど精力的に活動しています。今回は『YOAKEMAE』収録直後の「ガングリオン」に、お話を聞きました。
※「WEST ANTS」についてはコチラをチェック!
彼が一番変だったので声をかけた
――収録お疲れさまでした。率直な感想や手応え、東ブクロさんの印象など教えてください。
クボ: すごい緊張してたんですけど、収録前からお優しかったのでだいぶリラックスしてできたと思います。
北村文化財(以下、北村): 僕はずっと緊張してたんですけど、いつも緊張するときってなにかしらのトラブルが起きて、それが起点になって緊張がほどける……とける……みたいなことが多いので……。
クボ: 「ほぐれる」かな?
北村: ほぐれる……ほぐれるだな。ほぐれることが多いので……僕的には、そこからうまい具合にしていただいて、ありがたい限りでございますね。
――じゃあ今日は、ネタを飛ばしたことで、自分的にやりやすくなった感じですか?
北村: そういうところはあるかもしれません……。
クボ: 変なことしないか不安だったんですけど、東ブクロさんがなんとかしてくださったので……(笑)。
――収録で話しそびれたこととかありますか?
クボ: 他の相方たち(ふわり春:まいち、くまねこ:あらき)の性格とか、もうちょっと言えたら良かったな~ってちょっと思いましたね。北村の話はできたんですけど、まいちとあらきの性格とか中身についてはあんまり言えなかったので。
――他の相方さんのことも、是非教えてください。
クボ: あ、まいちの性格を言おうと北村がメモってたんですよ(笑)。
北村: (しばし探す)……あった。え~、漫才うまい、声大きい、意外と大人。
クボ: そんなん、メモらんで良いと思うねんけどさ(笑)。
北村: (笑)。
クボ: もうちょっとない?中身
北村: あ、中身っすか?まいちさんは……わりとしっかりしてはる。
クボ: そうですね。
北村: はい。やっぱり、一番大人ではないでしょうか。
クボ: まいちだけ、二つ上なんですよ。文化財が変なことをして、最初は私が責めるだけだったんですけど、だんだん三人で仲良くなって、あらきを入れて四人で仲良くなって……。で、まいちが彼のフォローをしてくれたりとか、そういうことが増えていきました。
――チームクボは、プライベートでもけっこう関わりがあるんですか?
クボ: 全然あります。四人のLINEグループがあって、ずっと動いてるし(笑)。そこは仲良いよね?
北村: はい!…………目が怖いっすよ(笑)。
クボ: (笑)。
――クボさんと北村文化財さんがコンビを結成した経緯を教えてください。
クボ: 最初、私が「猫と大福」っていうコンビで学生芸人として活動してたんです。いろんな大会に出たりとかしてて。でも、相方が別のコンビと並行して組んでたこともあって、「(もう一つのコンビのほうが)本コンビやからお前は期間限定や」って言われてたんです。それで、契約満了ということで解散ライブをしたんですけど、そのゲストで北村文化財君の前のコンビが出てくれたんかな?
北村: はい。
クボ: んで、「猫と大福」を解散した後、次どうしよっかな~と思ってたんですけど、実は5~6人から「相方になってください」ってDMが来たんですよ(笑)。北村文化財からはそう言われてなかったんですけど、私のほうがちょっと目を付けてて。いろんな人と関わってみて、彼が一番面白かったので(笑)。
北村: ちょ(笑)。
クボ: 彼が一番変だったので、彼と組みたいなと思って。(同時期に北村文化財も解散していたので)たぶん、私から声かけたんだったと思います。
愛らしい北村文化財と、漫才でギアチェンジするクボ
――クボさんから見た北村文化財さんの魅力はどんなところですか?
クボ: 人の気持ちに寄り添いすぎちゃうところがけっこうあります。
北村: はい。
クボ: 例えば、二人でオムライスを食べに行ったとき、私のオムライスに卵の殻が入ってたんです。「あーちょっと嫌やなー卵の殻入ってたわー」って言って、ぱっと前を見たら、北村文化財のオムライスにも卵の殻が入ってたんかな?って思うくらいの顔をしてて(笑)。なぜか彼もジャリジャリを感じてて(笑)。
北村: (笑)。
クボ: いや、関係無いやん!味は!気持ちが寄り添ってしまうことはあるかもしれないけど、味覚まで移ってしまうことは無いやん?っていうことがけっこう、多々あります。あと、あるライブの途中で「ふわり春」の賞レースの結果が出るときがあって……。
北村: 『THE W』の。
クボ: そう。『THE W』の結果が出るときがあって。1回戦やからまぁ、そんな落ちひんやろとは思ってたんですけど。
北村: (笑)。
クボ: 受かってることが判明して、彼が楽屋にいる芸人たち全員に「クボさんがWに受かったんですよ!!!」って言いふらしまわってて(笑)。
北村: ごめんごめん、本当に(笑)。
クボ: なに?なに?なに?みたいになって(笑)。
北村: ざわざわさせて……。
クボ: 誰が?お前が?いや違うやろ!みたいな(笑)。
北村: (笑)。
クボ: ざわざわざわざわして(笑)
―なにかあったとき、自分のことのように感情を動かしてしまうんですね。
北村: はい、そうなんですよ……。
クボ: あと平衡感覚がないから、ストローの飲み物を一発で飲めない。(口に運べず空を切るジェスチャー)……こうなるとか、舞台から落ちる、センターマイクより前に出てしまう(笑)。え~あと、何があるかな?スプーンでホットの飲み物を飲むとか。
北村: さっき(収録中)に言ったやつね。
クボ: 言った言った。いっぱいあるよね。あと、この国で財布を4回すられてるとか。それから、7,000円の歯磨き粉を毎月定期で買ってる。
北村: あー、そうだな。そうだそうだ。
クボ: 他人事?君の話してんねんけど(笑)。
北村: そうでした(笑)。
クボ: 7,000円ですよ?毎月ですよ?
北村: 毎月届いちゃうんですよ。勝手に。
クボ: いや、君が買ってんねんで
――どれくらい継続して買ってたんですか?
北村: 半年近くですね。
クボ: ろくでもないですよね。
北村: 3万か4万くらい使ったかな。
クボ: 安いやつやったら、300円か400円くらいで買えるのに……7,000円…!?月1で……!?事故物件なら住めるで?
北村: どのサブスクよりも高いですからね。ネットフリックスとかより。
クボ: 高いよ~。
北村: 全部のサブスク入れるし、7,000円あったら、
クボ: もういい。
――そういうところが魅力的ってことですね。
クボ: そうですねー。愛らしい。
――逆に、北村文化財さんから見たクボさんの魅力を教えてください。
北村: 単純に喋りが上手いってところですね。漫才になったら人が変わる。……まぁ、漫才する前も!もちろんうまいんですけど!
クボ: ちょっと声大きいかもしれんわ(笑)※。
※オフィスの一角で取材を実施したので、周りに仕事をしている人がたくさんいた。
北村: ……漫才になったら、人が変わったようにギアチェンジできて、すごい喋りはるんで。僕には全然できないことなので。僕に無いところをすごい持ってらっしゃるので、そこが彼女の魅力だと思います。
――北村文化財さんは就活中と収録で話していましたが、どんな会社に入りたいんですか?
北村: いやでも、それこそ、もう、なんでも良いというか。本当に。「どこでもいい!」ってところまで追い込まれてしまって。最初はそれこそ、通勤する人を朝見てかっこいいなって思って。そういうのもちょっとやってみたいなって思ったんですけど。遠い世界なんで。
クボ: そうね。スーツも上手に着られへんもんな。
――では、「○○業界で働きたい」とかではなくて「働いてみたい」が大きいんですね。
北村: そうですね。僕はほんとにそのスタンスで行ってるんですけど……最終面接に行くと、おじさま達が出てこられるので、そのおじさま達の圧力に屈してお笑いの話をしてしまうという。
クボ: いや屈してないけど全然。立ち向かってるけど。
北村: お笑いを隠したら、だいたい最終まで行けるんです。
クボ: じゃあ最後まで隠したら良いやん(笑)。なんで今、ちょっとカッコつけようとしたん(笑)。「最終面接までは行ったことあるんすよ」、いらんやん、今(笑)。
――確かに(笑)。「最終までは行ってたんだなー」って思いました。
クボ: ね?いらないですよね?ダメなままで良かったじゃないですか(笑)。
北村: いや、もう一歩ってこと……ちょっと訴えたかってん……。
クボ: 言いたかったんやな?かっこいいと思われたかったんやな?どうしようもないですよ。
意外とクボが怠惰
――在学中にやりたいことはありますか?
クボ: 在学中かぁ。
北村: あと半年。
クボ: あと半年ですね。学生の大会に出れるのは今だけなんで、なんとか形にできたら。学生のライブにも今しか出れませんし。
北村: うん。
クボ: 学生芸人のライブって、東京のお笑いに近いと思ってるんです。(関西では一般的でない)人(にん)のお笑いであったりとか、変なネタがウケることが多いから。
北村: 近い近い近い近い。
――クボさんは、スムーズに卒業できそうですか?
北村: 全然。
クボ: は?……その、まぁ、電話がかかってきまして。「クボさんは三月に卒業するつもりなんですかね?」って。ちょっと言い方ってもんがあると思ったんですけど(笑)。「そうですね」って言ったら、「様々な教科の先生にご丁寧にお願いされてみたら、できるかもしれないですねぇ~」って言われたので猛ダッシュでメールを送ったら、ブチ切れたメールが返ってきて(笑)。……しゃあないやん!月20回ライブ出てんねんで!
北村: ……うん。
クボ: ごめんごめん。はいはい、言い訳、言い訳です。この子(北村)はできるもんね。
――文化財さんは余裕で卒業できそうですか?
クボ: 余裕なんですよ~~こんななのに。
北村: そうですね。
――ではクボさんは、卒業することが目標ですね。
クボ: 本当に……!絶対卒業したいですね。絶対卒業したい。
北村: 袴姿を見せたいね。
クボ: そう、袴姿をファンに送り付ける。お客さんがみんな、「絶対無理だよ」みたいな。「もう諦め」みたいなDM送ってくるから、絶対送り付けたろと思って(笑)。
――『M-1グランプリ』の申し込みにファンの方についてきてもらったというツイートを見たんですけど、クボさんは皆さんからどう思われてるんでしょう?
クボ: だらしないと思われてると思います(笑)。(相方)三人とも私の金銭面のゆるさ、だらしなさ、カバンの汚さ、日程調節とかの下手さを知ってるのに、何で収録のとき言わへんのやろと思ってました。
北村: あー、忘れてたな。
クボ: 本当に、超絶だらしないので。『M-1』の締め切りギリギリに、本当に四人くらいのお客さんから、「クボちゃんM-1出した?出してないやろ絶対。明日までやで」って来て。「出すし!分かってるし!」と思ったんですけど結局当日まで出さなくて(笑)。そんで歩いてたらお客さんにたまたま見つかって、「まだ出してないやろ!!」って郵便局まで引きずられて行くということがありました(笑)。で、申込書を書いてるところの横にいてもらって、その様子を(Instagramの)ストーリーズに上げられるっていう……ポンコツ過ぎワロタみたいな……(笑)。
――北村文化財さんとの関係だけ見て、クボさんがお母さんみたいに見えてました。しっかりしているのはネタだけなんですね(笑)。
北村: たしかに。
クボ: ネタだけかもしれないです。他はもう、どうしようもないなあ?
北村: まぁそうですね……どちらかというと、大学生寄りというか。
クボ: ん?
北村: 単位取れてないみたいな。
クボ: 大学生っぽいってこと?
北村: そうそうそう
クボ: はい。
北村: そういう怠惰さは出てるよね。
クボ: 怠惰さ。ひどい言われようで。
北村文化財の正解を見つけられたら、すごく強い
――クボさんは三つのコンビを組んでいますがガングリオンはどんな特徴がありますか?
クボ: もともとは普通のコント漫才とかしゃべくりをしてたんですけど、まるきりできない。ほんっとうに(北村が)ネタを飛ばすし、恐ろしく下手。なので、もう彼にしゃべらさんとこうと思って、一回彼の声をすべて録音して漫才をしたことがあって(笑)。
北村: はい。いやー、あったね。やった。
クボ: 彼は一言もしゃべらず舞台上で彼の音声を流すだけ、ということをやったり。試行錯誤を死ぬほどしてる状態なんですけど、「絶対に彼の色を出したほうが良い」と思って。なので毎日10分電話をして、彼から出る言葉の中から拾ってネタを作っています。会話から引き出して、そこから並べてネタにできたら良いなと思ってるんですけど、まだ全然……形になってないですけど。
――普通の会話で引っかかったところをネタにしてるんですね。
クボ: じゃないとできない(笑)。
北村: (笑)。
クボ: 自分から出たものじゃないと。すっごい台本っぽくなっちゃう。
北村: そうですね。はい。
――10分の電話のために、トークの準備はするんですか?
北村: いや、あのー、疲れてるときが一番そういうのが出やすいなと思って。
クボ: なんでかっこよく言うの(笑)?そんなことを。「疲れてるときが出やすい」じゃないのよ。
北村: あの、夜に電話するようにしてるんですよ。バイト終わって疲れてるときとか、1日予定があって疲れてるときとか。そういうときにちょっと喋ってみると、なんか自分でもなにを喋ってるか分からないようなことを発してしまうんですけど、それを面白いって言ってくれて。
――じゃあ、極力疲れとくみたいな?
北村: そこをメインに……はい。
クボ: そこをメインに活動してます(笑)。
――ガングリオンとして、今後の活動はどうしていきたいですか?
クボ: 今3コンビ合わせると月20回くらいライブに出ているんですけど、そのうちの半分くらいがガングリオンなんですよ。とくかく彼を舞台に慣らさないといけなと思っているので。
北村: はい。
クボ: でも、組んでから1年、私はまったく彼の正解を見つけられなかった(笑)。ただ正解を見つけたらすごく強いと思ってて。「こんな人いない」って思ってるので、私が彼をもっとコントロールできるようになったらすごく強いものが生まれると思ってます。なので、来年の『M-1』までなんとか調節していきたいと思ってます。
北村: 毎日10分電話するって決まったのも、つい最近で。
クボ: 2週間前くらいやんね。
北村: 2週間前くらいで。『M-1』直前くらい?
クボ: そう。『M-1』(1回戦)直前まで、なにしたら良いか全然見つけられてなくて。で、先輩に「どうしたらいいですかね」って言ったら、「一回なんにも北村文化財に言わずに舞台立ってみたら?」って言われて。ほんまに、彼になんも言わずに舞台に立ったんです。彼は「なにすんの!クボさん、ねぇ今日なにするんですか!」ってずっと言ってるけど無視(笑)。で、そのまま舞台に出て「ポケモン10種類言え」って言って。「え、なんでですか……」「いいからポケモン10種類言って」って言ったら、「ゴローニャ」。……「なんでゴローニャスタートやねん!」って言って、そっから2分間キレ続けて帰ったんですけど(笑)。それでウケたから、そういうのを彼との会話の中で見つけていかなあかんと思って。これからそういうことを増やしていけたらなと、それでもうちょっと形になればいいなと。
――東京遠征に来るとき、ほかのコンビではなくガングリオンで来ているのはなぜですか?
クボ: 北村文化財は、東京の方がハマりやすいと思うからです。東京の方は、割と人(にん)のお笑いが好きなイメージがあるので。大阪は、(技術的に)上手くないとだめ。
北村: そうなんですよ。
クボ: 東京は人(にん)で笑ってくれることがあるので。彼はテンパったときに、なんか探すんですよ。漫才なんて手ぶらなのに(笑)。しかも肩を重点的に探す。そこに何か入ってたことなんかないのに(笑)。……っていうことを舞台で言うと、東京のお客さんは笑ってくれる。大阪は、「はー?なに言ってんねん」ってなるんですけど。
――最後に、この記事を読んでくれた方にメッセージをお願いします。
クボ: これからもっと東京のライブたくさん出るので、よかったら見に来てください。ガングリオンで申し訳ないんですけど。
北村: いやいやいやいや。そんなことないっすけどね?
クボ: いや、あんたが言うのはちゃうやろ。
北村: そうでした。そうか……そうですか、そうだった。はー。
クボ: 下手こいたーやないねん。
北村: ごめんなさい、はい。
クボ: よかったら、文化財のポンコツ奮闘記を観にきてくださったらとても嬉しいです。よろしくお願いします。
北村: えっと、僕ら本当に学生芸人の知り合いがあまりにも少なすぎるので。
クボ: そうやねー
北村: はい。ほとんど知らないんですよね。コロナで1年くらい学生芸人のライブが無くて関西の学生芸人さんも関東の学生芸人さんも一切分かんない状態のまま四年生になったので、機会あればいろんな学生ライブとかで、ご挨拶できればな、と。
クボ: そうですね。
北村: そんな風に思っています。
PROFILE
<ガングリオン>
左:北村文化財(@bunkazai_zaizai)
右:クボ(@ku_131)