2025.02.28

「24時間以内に100万円使ってください」と言われたら？《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO」第35回》

『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。

今月のテーマは、「24時間以内に100万円使ってください」と言われたら？

★春とヒコーキが読者のお悩みに答える連載「VIP ROOM HARUHIKO ～秘め問い～」はコチラから

theme.「24時間以内に100万円使ってください」と言われたら？

ver.ぐんぴぃ

オンラインカジノだったら楽に使いきれたのに！僕はこないだ、オンラインクレーンゲームの案件をオンラインカジノとポロっと言ってしまい、大変怪しまれるなどしました。や、やってないですけど！！！！

しかし、そもそも賭け事だと万が一当たってしまったらお金が増えてしまいますもんね。
こち亀で両さんが100億円を1週間で使い切らなきゃいけない回があって。競馬で最弱の馬に全額賭けたら、運悪く勝ってしまい苦しんでいました。この話、こち亀でやってます（©︎三日月マンハッタンの仲嶺さん）
両津って今だったら絶対オンラインカジノやってたよなぁ。麗子を睡眠薬で眠らせて採寸して麗子ドールを作った話とか、コンプラ駄目すぎて叩かれてたかもしれないから、いい時に連載終了したと思います。

100億円の後に100万円の話をするのでグレードが下がりますが。

100万円を使い切るために、映画館で映画を流したいです。
かなり昔、相方の土岡が映画館のクラウドファンディングに思いきって5万円ほど出資したことがあります。そのお返しで「映画館を貸し切って好きな映画を流す権利」を手に入れました。映画好きの彼はどんな作品を流すかワクワクしながら夢中で考えて。マニアックなフィルムを上映してファンに楽しんでもらうもよし。逆にテレビでしか観たことがない『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を大画面で流すもよし。

いざ上映したいタイトルが決まり、映画館に伝えると「映画館は貸せるけど、映画を流すには映画会社に版権代を支払う必要がある。版権代はどの作品も数十万円から100万円ほどします」と言われたそうです。そんな額はとても用意できない土岡は、映画上映を断念してしまいました。いやはや、なんという罠。可哀想に。

この顛末を聞いた時は大笑いしましたが、僕も密かにいつか映画を流したいと思っていました。100万円払ってでも流したい。このあいだ映画『怪獣ヤロウ！』の監督の八木さんが、『怪獣ヤロウ！』キャンペーンの一環で、撮影地である岐阜の映画館で作品を上映できる権利をもらって。一番好きな『ゴジラVSデストロイア』をフィルム上映していました（行きました、大変見応えがありました）。

僕だったら『クレヨンしんちゃん　オトナ帝国の逆襲』か、今では絶対テレビでも流せない『パッチギ』を流したいですね。ラジオ局で殴り合う名シーンだけ応援上映にします。

ver.土岡

難しいけど、人に何か振る舞ったりせずに一人で100万円使い切るように考えてみる。

まず、Kindle Paperwhiteの広告が出ない版を買う。Kindleを読むタブレット、Kindle Paperwhiteを1台持っているけど、「数千円安い代わりに広告が出るやつ」を買った。タブレットをオフにしている間ずっと広告の画面で固まるようになっている。大学の後輩の漫画家・森田俊平が描いたラブコメの漫画もKindleで読んだ。それ以降、ラブコメ漫画の広告がいっぱい出る。渋い文学作品を読んでいるときも、タブレットをオフにしたら「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」と書いてある。いい漫画なのは知っている。けど、近くに人がいる電車で「さて文学のお時間です」という顔で、そう書いてある板を出して恥ずかしかった瞬間が何度かある。なので、広告が出ないやつに買い替える。約3万円。残り97万円。

高級な着物を買う。2020年頃に和服にハマって、始めの頃はライブにもよく着て行っていた。その頃、サスペンダーズの古川さんが「土岡さんが最近着物を着てるのは何なんだろう」と言って、依藤さんが「まだ言うな。何年か経って全然着なくなったとき、あのとき着物着てたの何だったんだって言うんだよ」という陰湿な会話があった。なので着物は着続けなければいけない。30万円。残り67万円。

昼は築地でいくら丼。タクシーで行くとして、分かんないけど往復2万円くらいか。いくら以外もいろいろつまんで、食費1万円。残り64万円。

何か体験もしたい。ヘリコプターに乗るのが、「30万円〜」らしい。飛行機ともまた違う「空中散歩」の趣がありそう。やったら楽しそうだけど普段やりたいとも思ってない。こういう願望の狭間から出てきた思いつきも実行することになる。でも、あとでこの日を思い出すときは「ヘリに乗った日」が真っ先に来る。思い出に特徴をつけて覚えておく代、30万円。残り34万円。

高級焼肉に行ったら、ひとりでも3万円くらいいくだろうか。残り31万円。

まだお金が残ってるので、無理やりテレビを買い替える。今の部屋には大きくて不本意だけど、50インチ10万円。残り21万円。

置く場所ないけど、マッサージチェアを買っちゃおう。贅沢と癒しのために家が狭くなる。どこに置くんだ。暮らしづらい。なんでマッサージチェア買わなきゃいけないんだ。たすけて。12万円。残り9万円。

一泊するために急いで温泉旅館に移動。自宅で寝るのもいい旅館で寝るのも、地球規模で見たら狭い箱に入ってることには変わらない。それでも自分の未踏マップを埋められた気持ちになる。ネットカフェに泊まるときもそれはそれで「ここの日もあるんだ」と思いながら寝る。寝る場所が変わることこそ冒険かもしれない。行ける距離の新幹線代（帰りの切符も）と宿泊料で9万円。なんとか使い切った。

考えてみて分かったけど、全然お金を使いたいものが浮かばなかった。金額を無視していいなら、やりたいのはディズニーランドに行って温泉宿に泊まる（贅沢して総額10万円くらい）か、映画観てボードゲームして銭湯に行くか。今度、映画観てボードゲームして銭湯に行こう。

文：春とヒコーキ
編集：堀越愛、サムネイル：つるみ32