スパイシーガーリックが新境地に挑戦。 ふたりが “ガラリと変わる” 日を見逃すな!≪ 初単独公演『Zero to Hero』特別インタビュー ≫

2023年4月8日(土)、プロダクション人力舎所属のコント師・スパイシーガーリックが初の単独公演『Zero to Hero』を開催する。

スパイシーガーリック(左:片山 智勝、右:ジョン)

スパイシーガーリックが結成したのは、2020年10月。結成2年で『第9回 NHK新人お笑い大賞』(2022年10月30日放送)を制したほか、『キングオブコント2022』は準決勝に進出。確かな実力を武器に、頭角を現し始めた注目のコント師だ。

今波に乗る彼らが、初の単独公演に込めた想いとは?『NHK新人お笑い大賞』優勝を機に変化した日々を振り返りつつ、話を聞いた。

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「職業:芸人」になれた

———昨年、『NHK新人お笑い大賞』(10月30日放送)の直前にお話を聞かせていただきました。その際に「直近の目標」として掲げていたとおり、有言実行で優勝されましたね。

片山 智勝(以下、片山): そうですね。まぁ、見えてる未来ではありました。

ジョン: 確かに。獲るべくして獲った、ということですね。

片山: そこまで言うとちょっと恥ずかしいよ。

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———優勝後、お仕事の変化はいかがですか?

片山: ネタ番組にちょこちょこ出していただけるようになりました。

ジョン: 今まではオーディションを受けて落ちていたような番組に、オファーをいただいて出演できたり。

片山: 確かに、オファーをいただいてテレビに出られるようになったのは大きな変化です。あと地方営業の仕事が入るようになって、関わる人がけっこう変わりましたね。普通にテレビに出ているような方とご一緒できて、貴重なお話を聞けたり。ガラッと環境が変わったと思います。

ジョン: あとライブも増えました。以前は自分たちで主催をしてたけど、最近は呼んでいただけることがめっちゃくちゃ増えて。しかも以前はエントリー制のライブにお金を払って出ていたけど、今はギャラをいただけるようにもなって。めっちゃ変わりましたね。

———では優勝後、芸人としてのお仕事がだいぶ増えたんですね。

片山: 本当にそうです。「職業:芸人」とやっと言えるというか。それまではバイトの収入しか無かったし、「芸人」と言って良いと思えなかったんで……。やっと、「職業:芸人」になれたと思います。

———優勝後、一番嬉しかった仕事はなんですか?

ジョン: 僕は、営業に行けるのが嬉しいです。飛行機に乗ってほかの場所にネタをやりに行くって、めっちゃ憧れだったんですよ。しかも東京03さんやナイツさんと同じ舞台に立って、さらに2,000人くらいのお客さんの前でネタをやるなんて。嬉しいですね。

———営業だと、普段東京で出ているお笑いライブとは全然お客さんの層が違いますよね。ネタをするのは難しくないですか?

片山: そうですね、僕らのこと知らない人ばっかりですし。でも、自分では言いたくないですけど……めちゃくちゃウケるんです(笑)。エスカレーターのネタ(ゾンビ)をやることが多いんですけど、老若男女が見て面白いものを作れたんだなって。


ジョン: ほかの方よりウケてるんじゃないかと思うこともあります(笑)。

片山: ウケ過ぎて、ネタ中に笑いそうになるくらい(笑)。でも、この後が怖いです。ほかのネタをやったらどうなるんだろうと……。最近は「これは本当に怖いことだ」と思ってます。

ジョン: こればっかりに頼っちゃうから。禁断の果実を手にしてしまった、じゃないですけど。1年後に同じネタやってるわけにはいかないですからね。

片山: そこはだいぶ悩んでて、いろんな先輩に相談しながらやってます。

———営業で、仲良くなった芸人さんはいますか?

片山: 営業はいつも同じようなメンバーで行くので、少しずつ仲良くなってきたかな。

ジョン: 仲良くなってきたのか……僕ら、ちょっと馬鹿にされてるかも(笑)。

片山: お見送り芸人しんいちさんね。最近、すごくいじっていただけるようになって……。

ジョン: 最初は見向きもされなかったんですよ。一般人だと思ってたらしくて(笑)。「楽屋に一般人がいる、なんだあいつらは」ってところから、最近ちょっとずつ仲良くさせていただいてます。合間に一緒に散歩しに行ったりとか。

片山: あと、流れ星☆のちゅうえいさんとか。ずっとふざけてて、一緒に遊んでくれます(笑)。学生のころ『オンエアバトル』で観ていた方なので、そんな人と同じ楽屋ってだけでめちゃくちゃ興奮します。

ジョン: どぶろっくさんとご一緒できたのも嬉しかったです。森さんが以前バイトしていたところで僕も働いてて、僕らがまったくの無名の時代にお会いしたことがあるんですよ。そこで「いつかどぶろっくさんみたいになれるよう頑張ります」みたいなお話をしてたんで、営業でご一緒できて「ここまで来れました!」みたいな。感動しましたね。当時は森さんも「頑張ってね」みたいな感じだったけど、今はそれがアドバイスしてもらえるようにもなって。芸人としての会話が変わってきた感じがあります。

———営業以外で、なにか印象に残っていることはありますか?

片山: 僕が1番嬉しかったのは、『NHK新人お笑い大賞』のWikipediaで、歴代優勝者としてスパイシーガーリックが載ってること。お笑いの歴史の中に僕らの名前が刻まれたんだっていうのが、1番嬉しかったですね。

ジョン: 優勝は通過点ではあるけど、テンション上がりますね。

———最近の大きな変化で言うと、1月末に村木さんが「ジョン」に改名されましたね。これはどんな経緯だったんでしょうか?

ジョン: 以前は「村木」と「片山」でやってたんですけど、先輩に覚えてもらえなかったんですよ。見た目が特徴あるわけでもないし、どっちがどっちか分からないみたいで……。で、ちゃんぴおんずの日本一おもしろい大崎さんに「ジョン」と名付けていただきました。「おまえは海外のコメディアン顔してるな」と言われて、海外でも通用するワールドワイドな名前にしたほうが良い!ということになって。ぱーてぃーちゃんのすがちゃん最高No.1さんも「それだわ!」と言ってくれて、ほかの方もみんな「良いね」って反応だったので、変えました。

———ちゃんぴおんずさんもぱーてぃーちゃんさんも波に乗ってる2組ですし、なんか良いですね。

ジョン: そうなんですよ。改名後は、初めてお会いする方にも一発で覚えていただけるようになりました。一応、片山も大崎さんに名前をつけてもらったんですよ。

片山: 僕は「梅太郎」って言われました。

ジョン: 顔が酸っぱそうだからって理由で。

片山: 理由が、ジョンと全然違う(笑)。冷静になって、「梅太郎」は保留してます。すがちゃん最高No.1さんからは「片山なんも怖くねぇ」って名付けられたんですけど、これもちょっと……。

ジョン: 「ジョン」は芸人界隈では評判良いんですけど、両親から猛バッシングを受けまして。「認められない」と。26年間やってきた名前を捨てるのかと。まず、「誰につけられとんねん、ふざけるな」みたいな感じになちゃって……今、ちょっと親との関係が良くないです。

片山: でも、ジョンになってからめっちゃ明るくなったんですよ。普段から「ジョン」をおろして活動している。

ジョン: 僕の中の「ジョン」を演じながら生きてます。


単独ライブに込める想い

———4月8日に、初単独公演『Zero to Hero』を開催するとのこと。単独ライブをやろうと決めたきっかけはなんだったんでしょうか?

片山: 昨年『キングオブコント』準決勝に残って、『NHK新人お笑い大賞』も優勝したくらいのころ、まわりから「単独やったら良いじゃん」って一気に言われたんですよ。元エレファントジョンの森枝さんとか、JCAの講師の方とか、先輩芸人にも。

ジョン: 単独をやるなんて、それまで頭にまったくなかったんですよ。

片山: いや、ありました(笑)。

ジョン: 僕は無かったです(笑)。

片山: ただ、考えが無かったわけじゃないけど、勇気が無かったんですよね。僕らがやっていいものなのか?みたいな。でもタイミング的にも「今やったほうが良い」って言われて、後押しされました。

———タイトルの『Zero to Hero』にはどんな意味があるんですか?

ジョン: こちらはですね、ちょっとダサくなるんですけど……

片山: いや、別にダサく無いよ。え、俺が提案したよね。ダサいと思ってたの(笑)?「Zero」と「Hero」って、「Z」と「H」以外は同じじゃないですか。1文字変えるだけで、意味が「ゼロ」から「ヒーロー」になるんですよ。つまり、なにもないところから英雄になれる。「Zero to Hero」は英語の慣用句で、「ガラリと変わる」って意味があるんです。僕らは、去年1本のネタで芸人人生がガラリと変わったっていうこともあるし、そのイメージをガラリと変えたいとも思ってる。そういう意味が込められてます。そもそもは、「ヒーロー」って言葉を使いたかったんですよ。「誰でもヒーローになれる」っていうメッセージ性を、単独公演に込めたくて。

ジョン: 最初、タイトルは『みんなヒーロー』って案もありましたね。

片山: マネージャーさんから「ダサすぎます」と言われて却下になりました(笑)。とにかく、最終的に「面白かった」だけじゃなく、ほっこりしたり、感情が動いたりするようなコントを作りたいと思ってます。たとえば、「なんの取り柄の無い人でも誰かのヒーローになり得るんだよ」みたいな。

ジョン: 片山さんも、今は誰の役にも立ってないですけど……

片山: ふざけんなよ。

ジョン: ………………!!

片山: しっかり止まるのやめろ、俺がぶち切れてるみたいになるから(笑)。

———単独公演で披露するコント自体にもリンクするようなタイトルになっているんですね。

片山: そうですね。やっぱり、そういうネタを作りたくて。だって、エスカレーター(ゾンビ)のネタにはメッセージ性はないじゃないですか。

ジョン: ありますよ。やっぱ、その……「エスカレーターでは走っちゃいけない」とか。

片山: あのネタ見ても、そんなこと思わないから(笑)。

ジョン: エスカレーターに乗るときは「ゾンビですら騒ぐのをやめて静かになるんだ」とか。

片山: あれ見て「静かに乗ろう」とか思わないから(笑)。なんというか、漫才は人間性がネタに表れるじゃないですか。対してコントは「脚本ありき」みたいに言われがちですけど、いろんな方のコントを見ていると「普段こういうことを面白がってるんだな」とか「こういう世界を望んでるんだな」って感じる部分があると思うんです。僕らのネタにはまだそういうものが無くて、動きとジョンの変顔で笑わせてる部分が大きくて。だから、「なにかを伝えられるコントにしたい」っていうのがめちゃくちゃ目標です。

———今回、会場がシアターモリエールですね。これはなにか理由が?

片山: 2019年に、僕らの1個上の先輩であるザ・マミィさんがここで第1回単独公演をやったんですよ。それで、「マミィさんの後を追ってここでやりたい」ってずっと思ってたんです。さらに、その単独でやった最後のネタを見たとき、僕泣いちゃったんですよ。コントを見て笑いながら泣くって経験を初めてして、それがずっと残ってるんですよね。あんなふうに「面白い」以外の感情が生まれるような、心に残るコントを作りたいです。

ジョン: 内容は覚えてないけど「めっちゃ楽しかった、明日から頑張ろう!」みたいな感じで帰っていただけたら良いっすね。

片山: 覚えていてはほしいけどね。

ジョン: 覚えておいてほしいです。

———ちなみに、配信はやらないんですか?

片山: 今のところ、配信は無い予定です。とにかく劇場に来ていただきたいと思ってます!

———舞台セットも楽しみです。

片山: こだわりたいですね。実は、舞台監督さんを、いつも東京03さんの公演を担当されている方にやっていただける予定なんですよ。僕、以前東京03さんの単独の手伝いをしたとき、その方とお話したことがあって。「お前が将来単独やるときは絶対言えよ」って言ってくださったんですけど、実際もう僕のことなんて覚えてないと思ってたんです。そしたら本当に舞台監督をやっていただけるかもしれないとなって、それもすごく嬉しいですね。それから、ジョンの顔も劇場でいっぱい見ていただきたいです(笑)。

ジョン: 「ジョンの顔ファン」になってくださる方が増えたら良いですね。

片山: 僕は、本当にジョンの顔が面白いと思ってるので。

ジョン: 恥ずかしながら……

———単独公演の前と後では、スパイシーガーリックさんのイメージがガラリと変わりそうですね。

片山: そうですね。自分たちが成長するための公演にしたいです。吉住さんに、「単独をやると、成長に繋がるよ」って言われたんです。「もったいぶらず今やりたいことを全部絞り出すと、次にまた新しく良いものを生み出せるから」と。だからとにかく、今の僕が考えられることを全部ぶつけたいと思ってます!

ジョン: カッコいい。僕も、片山さんの頭の中にあるものを実現するために頑張ります!

取材・編集:堀越 愛

PROFILE

プロダクション人力舎 所属

左:片山 智勝
右:ジョン

★公式プロフィール:https://www.p-jinriki.com/talent/spicygarlic/
★公式YouTube:スパイシーガーリック

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