2021.07.26
【WEST ANTS ストーリー -vol.3 トルクレンチガールズ-(後編)】「ほっとけない存在になりたい」僕たちのことを好きになって! ~西の地下で蠢く、新たな笑いの息吹~
2021年4月、大阪のライブシーンで活動する9組18人の芸人によるユニット『WEST ANTS』が誕生しました。発起人は、大阪・西心斎橋で「BAR舞台袖」を営む加藤進之介さん。大阪のお笑いを盛り上げるべく、本当に「面白い」と思う芸人を集めました。(加藤さんインタビュー:大阪を「芸人が飯を食える場所」にしたい)
昼は“会社員”、夜は“芸人”と「二足のわらじ」を履いて活動している「トルクレンチガールズ」へのインタビューインタビュー。後編では、憧れの芸人像や未来の目標、『WEST ANTS』に対する想いなどを伺いました。(インタビュー前編はこちら)
★【WEST ANTS ストーリー -vol.0-】大阪お笑いに、新たな息吹!芸人ユニット『WEST ANTS』とは
〇〇〇で売れたい。力学が抱える大きな夢
――憧れの芸人像を教えて下さい。
うまこ: すぐにでも達成したいのは、お客さんに「生のライブを観に行きたい」と思ってもらえるような芸人。それから、ライブを主催する人に「“呼びたい”と思ってもらえるような芸人」です。あと、「お笑いドスケベ」みたいなお笑いファンに好かれたい。それから、噂になりたいです。去年の『M-1』は2回戦で敗退してしまったんですけど、それでも僕らを知らなかった人がTwitterで名前上げてくれたりして嬉しかったので。結果を残したいなと思います。
力学: 僕は「噂になりたい」と被るんですけど、アジアで売れたい。
うまこ: アジアで売れたい!?
力学: はい。できるだけ多くの人に。
うまこ: 日本でええわ(笑)!東南アジアってこと?なんでアジアで売れたいん?
力学: え?活気あるから。
うまこ: 適当やな(笑)。大学院出てるんやったら、もっと裏付けのあること言えや。
力学: いやいや、希望があるやん。欧米には興味無いんですけど。
うまこ: 東南アジア、俺絶対行きたくないけどな。
――アジアではどういった売れ方をしたいんでしょうか?
力学: そうですね。僕たちを見て、「今日楽しかったな」と思ってもらえるような、希望を与えられる芸人になりたいです。
うまこ: そんなこと思ってたんや。言葉の壁はどうするん。
力学: それは見た目とボディーランゲージで。
うまこ: お前だけやんそれ。俺どうすんねん。
力学: おもろいやん、なんかしてたら。
うまこ: なんかって。俺のこと全然考えてくれてへんやん。
「トルクレンチガールズは無敵になる」ライバルから受ける刺激
――意識している芸人さんはいらっしゃいますか?
うまこ: 挙げていくとキリがないんですが、ネタの参考にしている芸人さんを二組挙げるとすると、「ダイアン」さんと「ママタルト」さんです。意識しているというか、好きやなあと。ライバルで言えば、去年大阪から東京に拠点を移してフリーで活動している「十九人」というコンビと、同じ社会人芸人の「じゃがいもタルト」さん、「デッサンビーム」さんです。
『WEST ANTS』の中だと、 「風穴あけるズ」さん、「ボニーボニー」さん、「ブルーウェーブ」さんを意識しています。トルクレンチガールズは力学くんの声が大きくなったら無敵だと思っているので、大きい声のコンビには刺激をもらっています。
――確かに、ダイアンさんとか声が大きいですもんね。
うまこ: ツッコむだけじゃなくて、喜怒哀楽を全部出しはるというか。そういう感情を自在に操れたら最強やなと思いますね。僕もユースケさんみたいなボケに憧れてます。
――力学さんはいかがですか?
力学: 僕は『AUN~コンビ大喜利王決定戦~」※に出演されていた人たちです。「ママタルト」さんもそうなんですが、「カナメストーン」さんとか「真空ジェシカ」さん、「Aマッソ」さんの影響を受けてますね。
※「コンビで大喜利のお題に答える」新感覚の大喜利ライブ。2020年12月に第1回大会を実施。ライブの好評を受け、2021年4月に第2回が開催された。(第1回レポート/第2回レポート)
うまこ: 教科書にするにしてはちょっと特殊なライブやと思うねんけど。めちゃくちゃおもろかったけどな。
力学: 『AUN』の配信から間もなく、『WEST ANTS』メンバーで生配信を行ったんですけど、そこで考えたボケは全部『AUN』の影響を受けていて。
うまこ: そうやったんや。結果はどうやったん?
力学: イイ感じやった(笑)。
5年後達成できたら、10年後は確実です。
――1年後、5年後、10年後の目標を教えてください。
うまこ: 難しい質問ですよねえ。前会社で同じようなこと書かされたんですけど、何も思いつかなかったんですよね(笑)。1年後の目標としては、結果を出したい。分かりやすいところで言ったら『M-1』準々決勝に行きたいです。舐められないように。
力学: 僕は割とはっきりしていて、1年後は今までの人生で一番面白い状態になることが目標です。5年後に国内で売れて、10年後はアジアで売れます!!!
うまこ: 「国内で」って言うたから嫌な予感してたけど。アジアで売れるん10年計画なんや。
力学: 5年後国内で売れることができたら、10年後アジアは確実ですね。
うまこ: 僕は5年後、芸人一本に絞れるくらい自信をつけることができていたらいいなと思います。
――10年後はいかがですか?
うまこ: そうですね……。『M-1』優勝。『M-1』優勝したいです。
力学: おお!出ましたね。
うまこ: ほんまに、お笑いで飯食えてたら最高ですね。
――ちなみに、力学さんのプランには「東京へ進出したい」という気持ちは含まれているんでしょうか。先ほどアジアで売れたいとおっしゃっていましたが、その過程に東京は?
力学: 東京へ進出したいという気持ちはありますね。
うまこ: 『WEST ANTS』(大阪ライブシーンから生まれたユニット)の取材や言うてるのに。
力学: ほんまやな。すみません(笑)。
うまこ: 僕は芸人になるつもりは無かったと言いながらも、なるとしたらどこを拠点にして活動しようとか、どこの事務所行くんやろうとか考えてたことがあって。そのときは、ライブも事務所もたくさんあって、人の目に留まるチャンスの多い東京が一番近道なんだろうなと思いました。今でもそこはええなあとは思ってます。
でも、その状況をひっくり返したいという考えで立ち上がったのが『WEST ANTS』なので、そこに誘ってもらったからには、全力で乗っかっていきたいと思ってます。
チャンスが増えた。「好きになってもらえたら儲けモン」
――『WEST ANTS』加入の誘いは、いつ頃あったのでしょうか。
うまこ: タイミングとしては昨年末ですね。
力学: そうやね。
――最初にユニットの構想を聞いたときはどう思われましたか?
うまこ: 最初聞いたときは、「僕らみたいなもんも誘ってもらえるんや。細々でもやっていて良かったなあ。ヨカタナ~」と思いました。
力学: ユニットのことは冬に聞いて、発足は春だと聞いたので、(持参のメモを読みながら)「春からの楽しみができて本当に嬉しかったです」。
うまこ: 棒読みすぎや(笑)。
――『WEST ANTS』の発表後、周りから反響はありましたか?
うまこ: 一番大きかったのは、ライブで一緒になることの多い社会人芸人・学生芸人からの反響です。逆の立場だったら、めっちゃ悔しかったやろうなと思いました。
――お二人がユニットに入って感じたメリットや、加入してから変わったことはありますか?
うまこ: メリットしかないですね。それぞれの芸人にファンがいて、ライブで定期的に集まるので、より多くの人に僕らを見てもらうことができますし。今までとは違う層のお客さんにも見てもらえるので。そこで好きになってもらえたら儲けモンですよね。あとはやっぱり、面白い人達とつるめる。絡んで面白くなるチャンスがあることですね。友達をライブに呼ぶときに、誘いやすくなるんかなとも思います。
力学: 僕は、お笑いの人たちの集団にいれるのがめっちゃ楽しいなと思います。今まで集団が苦手で、継続することができなかったので。
うまこ: 部活引退の何か月前に辞めたんやったっけ?
力学: 4か月前。
うまこ: そんなやつおらんって。2年サッカー部やって……。
力学: 引退間際にいつも通り部活さぼって帰ろうとしたら、監督に呼び止められて。「ふらふらしてるやつおると士気が下がる。今辞めるか、戻って頑張るか、どうすんねん」って言われて……。で、僕もちょっと泣きそうになって……「辞めます」と。
うまこ: その話やったら絶対「やります」やん。そこで辞めるやつおらんて(笑)。
力学: キャプテンの計らいで、集合写真は入れてもらいました。他のチームメイトとはめっちゃ距離ありましたけど。
うまこ: そうやな。でもキメた顔してたで(笑)。さも引退試合出たみたいな顔。
――では、力学さんは今は集団が楽しいんですか?
力学: そうですね。
うまこ: でも、それ聞いたら不安になりますね。途中で嫌になるんちゃうか、辞めるんちゃうかって。
力学: お笑いの人たちは部活とかスポーツとかの集団と色が違うので。今のところは楽しいです。
「どうしようも“ある”」VS「どうしようも“ない”」
――今後、『WEST ANTS』でやってみたいことや、やっていきたいことはありますか?
うまこ: 『WEST ANTS』に入るまでライブを主催したことがなかったんですが、今後は月いちペースで主催ライブをやっていこうと思っているので、いろんな芸人さんとライブをやりたいです。面白いことどんどんしていって。『WEST ANTS』が大きくなればいいですね。
力学: 僕は、盆踊りとか。
うまこ: はあ(笑)?
力学: 夏祭りとかをしてみたいです。
――営業に行ってみたいということでしょうか?
力学: 営業にも行ってみたいですね。小学校に行って子ども遊んだりとか。
うまこ: それプロ野球選手とかがやることやで。国民的スターにならな難しいな。
力学: 盆踊りは開催したいです。
――『WEST ANTS』のライブでは、どんなことをやってみたいですか?
うまこ: やりたいと思っているのは、先輩後輩関係なく戦いたいと思う芸人さんを5組呼んで、1本ずつ漫才を披露してもらい、僕らのネタとそれぞれタイマン勝負してもらうライブです。
力学: 僕が思ってるのは、芸人さん何組か呼んで「どうしようも“ある”うまこ軍」VS「どうしようも“ない”力学軍」に分かれて、大喜利、モノボケなどいろんなお笑い種目をやって、どちらの軍が勝つのか、勝敗を決める裸一貫のお笑いライブをやりたいです。
うまこ: おもろそうやな。ただオファーするときにめっちゃ失礼になるんちゃう?「コンビの片方はどうしようも“ない”じゃないですか~」ってオファーするの(笑)。企画としては面白そうやな。やってみたいですね。
道頓堀の花が咲く。浪速一筋の照かり者
――お二人が考える「売れる」とはどういう状態のことだと思いますか?
力学: 僕は分からない……分からないんですけど、「道頓堀に映るネオン街を見て目を煌めかせていたい」ですね。
うまこ: なんやねんそれ。わけわからん(笑)。僕は、売れると言ったら「ちびっこにマネされること」ですかね。あとは、ライブのチケットが人気で取られへんとか、遠征してまで観たいとか。芸人さんやライブの主催者に「こいつらおったら安心やな」って思ってもらえたら最高ですね。
――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
力学: 「道頓堀の花が咲く。浪速一筋の照かりもの」でお願いします。
うまこ: なんやそれ。いらんぞそんなん。読んでくれてはる人、「はあ?」やぞ
力学: “テカリモノ”は“照り焼き”の“照り”に、あとはひらがなで。
うまこ: なんでそこだけ説明すんねん。大体そうやねん。
――続いて、うまこさんお願いします。
うまこ: 記事をご覧の皆さん、トルクレンチガールズと申します。トルクレンチガールズという非常に覚えにくい名前でございます。そこは我々の不徳の致すところでございます。『WEST ANTS』というユニットに入れていただきました。まずは、力学くんの見た目、強烈なキャラクターに慣れていただいて。好きになって下さい。
力学: お願いします。
うまこ: ほっとけない存在になりたいです。『WEST ANTS』集結ライブは配信もありますので、是非観ていただいて。ユニットとして注目していただけたらと思います。
【前編を読む】芸人、だけど会社員。結果を残して自信をつけたい
取材 ライター:サトミメイ、写真:ことばのラジオ
編集 堀越 愛
<トルクレンチガールズ|プロフィール>
フリー。ユニット『WEST ANTS』に所属。
左:うまこ
1993年7月7日生まれ。大阪市出身。会社員。
プロレス、プロ野球(カープ、バファローズ)、趣味、特技、特徴:ポケモン、スパイスカレー、人並み以上マニア未満の鉄道の知識がある、プラレール(改造して製品に無い車両を作る)、お笑い(吉本の劇場に通ってた経験あり)、旅行の行程を綿密に組む、昼休みにする20分の昼寝、ラジオを聴きながら靴を磨く、好きな中華屋でビールを飲む、1日で水を5L以上飲む、THE BLUE HEARTSのイントロクイズ、喉から美味しそうな音を出しながら液体を飲む、比較的地理が強い、お尻が小さすぎる、2機会連続で運転免許を失効した。
右:力学
1993年9月24日生まれ。大阪市出身。会社員。
趣味、特技、特徴:空を見る、反省する、その日良かったムーブ(ツッコミなど)をしがむ、会社のスキンヘッドの重鎮と共鳴する、学んだことを少しずつ身につけられる、でかい人とスポーツをしてもまあまあ活躍できる、ポッピンダンス、ヒトカラで8時間過ごせる、ボウリングがちょっとうまい、ワゴン車で狭い場所のカーブとか駐車を的確にできる、楽しそうに原付に乗れる、ビリヤード、ジェットコースター、パーティ、パチンコ(引退)、競艇(引退)。
INFORMATION
トルクレンチガールズYouTubeチャンネル
トルクレンチガールズの公式YouTubeチャンネルはこちらから!
↓ ↓
https://www.youtube.com/channel/UCZ_1u6ETB303KYRqgXiklaw/featured
PERFORMERS
-
うまこ/トルクレンチガールズ
-
力学/トルクレンチガールズ