大学お笑い出身の新星が語る、過去と未来【ビデボーイズ インタビュー】

2022年3月13日、グレープカンパニーが新たな所属芸人を発表した。その名は、ビデボーイズ。法政大学出身(2021年3月卒業)のコンビである。

ビデボーイズは大学時代にお笑いサークルHOSに所属し、数々の大会で好成績を残している。2018年、2年生ながら『大学芸会』(夏の個人戦)で準優勝し、翌年も連続で決勝進出。『NOROSHI』(冬の団体戦)でも2019・2020年に連続で決勝進出し、卒業後は1年間フリーで活動。この春、正式に事務所所属が決まった。

事務所所属が発表される直前、ビデボーイズは“大学お笑い”がテーマのラジオ番組『さらば青春の光 東ブクロの学生芸人YOAKEMAE』(ラジオ関西)にゲスト出演した。収録後、これまでとこれからの二人について話を聞いた。

純粋にお笑いを楽しんだHOS時代

———収録はいかがでしたか?

堀越: テンポ早いな、やっぱすごいなと思いました。どんどん進んでっちゃって、喋り慣れたくらいに終わっちゃったんで。もっと喋りたかったですね。

赤瀬: ちょっと焦って。

堀越: 焦りましたね。

赤瀬: なにも考えないまま、ずっとペラペラ喋ってしまいました。

———堀越さんはHOS(法政大学お笑いサークル)時代、代表を務めていたんですよね。どんな経緯で代表になったのでしょうか?

堀越: (サークルで)真面目に大学行っていたのが僕ぐらいで。自然となりましたね。リーダーシップとかもなくて、気分屋なのになっちゃって。みんなに迷惑をかけました。

———在籍当時、HOSはどういった雰囲気のサークルでしたか?

堀越: プロになりたいとかなりたくないとか関係なく、とりあえずみんなでライブを作ったり、大会に出るのが楽しくてやってるって感じでしたね。学生芸人の経験を(就職の)武器にしようとかはあまり考えていなくて、純粋に楽しんでいる感じでした。

———サークルの中でプロを目指していた人はどのくらいいましたか?

堀越: ほとんどいなかったですね。

———そうなんですね。大学でお笑いを辞めてしまった方も多いと思いますが、プロになってほしかったコンビはいらっしゃいますか?

堀越: 僕らの同期の「チンチロ」という漫才コンビです。留年とかして今年の春から働くんですけど、本当に今でも「プロになってくれ」と思ってます。もったいないなと。

「大学お笑い」そのものが目標だった

———お二人がプロを目指したきっかけや理由をお聞かせいただけますでしょうか。

赤瀬: 大会で結果を残せたというのが、一番大きいと思います。僕に関しては、それにつられて学業をおろそかにしたというのがありまして、ズルズルと……という感じなので。何か決意めいたものをしたという感じではないですね。

堀越: 固いな。

赤瀬: (笑)。

———大学入学から、芸人になろうという気持ちがあったんですか?

赤瀬: 僕は、大学に入る前から芸人になりたいという気持ちがありました。ただ大学お笑いという存在を知って、「お笑いをやりながら大学も通えるんだな」と思って。それで上京したというのもあります。ただ、本当に、プロになったのは「自分が思った以上に結果が出た」というのが大きいです。

———堀越さんは、入学前から芸人になることに興味があったんですか?

堀越: 僕は大学お笑いがやりたくて大学受験を頑張ったので、その先とか考えてなかったですね。

———ではプロになるための道というより、大学お笑い自体が目標だったという感じですか?

堀越: そうですね。『エレ片(エレ片のコント太郎)』って言うエレキコミックと片桐さんのラジオを小学校のときから聞いてて。皆さんが大学お笑い出身なので、それをずっと聞いてて、「あ、俺もやりたいな」と思って。

———堀越さんの場合は「大学お笑い自体が目標」みたいなところがあったと思うのですが、赤瀬さんの場合はなぜ、一度大学に入ってお笑いをやろうと思ったんですか? 養成所に入るという手段もあるかなと思うのですが。

赤瀬: 僕、広島の田舎出身なので、「大学に行く」と言えばリスクが少なく上京できるぞという考えがありました。でも、僕も大学お笑いというものが好きだったので、将来芸人をやるにしろやらないにしろ経験してみたいな、というのはありました。 

———大学お笑いの存在を知ったのは、いつ頃ですか?

堀越: それ知らないな。

赤瀬: 高校3年生くらいですね。ちょうど『M-1』が復活したタイミングで、いろいろ見るようになって。YouTubeとかで学生お笑いの方を見つけたのがきっかけだと思います。

学生芸人の延長線上にあったものは……

———家族や周りの人は、お二人がプロの芸人になると決めたとき、どういう反応を示されましたか?

赤瀬: 「あぁ、そう」くらいでしたね。周りも、なんか「なりそうだね」で。

———結果が出ていたから、自然な流れだったんですかね?

赤瀬: それもあるかもしれません。家族に関しても、「大学ちゃんと行きなさい」みたいなのはもちろんありましたけど、芸人になることに関しては全然。なにも言われなかったですね。

———堀越さんはいかがですか?

堀越: そうですね、(赤瀬と)一緒とまではいかないですけど、「今就職しなくても死ぬわけじゃないから」みたいなのは言われましたね。

———では、まわりが就職活動を進める中でも、特に焦りはなかったですか?

堀越: 就活時期が、ちょうどコロナ禍だったんですよ。通常通り大学に行きながら周りが就職活動してたら、多分めちゃくちゃ焦って……芸人になるのを辞めてたかもしれないです。ずっと家に一人だったんで、気付いた頃にはもう遅かったと言うか。「あぁ、みんなそうか。社会に飛び出すのか」と思っているうちに、ぬるっとフリーになりましたね。芸人になることはコロナ禍になる前に決めてたんで、ブレずに進めて良かったのかもしれないですね。

———そうなんですね。プロの芸人になることを決めたのは、2020年の『NOROSHI』決勝が決まった頃くらいですか?

堀越: 2019年の12月ぐらいに決めたんで、大会前ですね。ちょうどコロナ云々が関係なかった頃ですね。むしろ「就活大変だなぁ、みんな」とか思ってました。

———ビデボーイズとしてプロになることを決めてたんですか?

赤瀬: 二人でっていう感じではなかったですね。どちらかというと僕が「なろう」と決めてて。「堀越がどういう決断するにしても、僕は芸人になるので。どっちでもいいですよ」って言ったら、堀越も「なりたい」みたいな感じでした。

大学4年間は養成所の1年?

———プロになる前と後で、なにか心境に変化はありましたか?

赤瀬: 僕は、良くも悪くもあまり変わらずといった感じですね。

堀越: 学生時代はネタが100%だったんですけど、プロになったら平場とかフリートークとか立ち振る舞いとかネタ以外にもやることがたくさんあって。活動の中でネタの割合が減って、ちょっと苦手だなと思うものが増えたんで、頑張んなきゃなと思ってます。

———大学お笑いを経験したからこその強みはありますか?

堀越: 実力じゃないですかね。僕はネタ書いてないんですけど、(大学時代を経て)「あ、俺ネタは書けない人なんだ」と知れたっていう。

———自分の力量を知れたということですか?

堀越: そうです。ネタは書けないんだとか、なにが向いてるとか、漫才よりコントの方が俺らウケるかもとか。そういうことを知ってから、それを踏まえた上でプロして活動できるというのは、良かったかも知れないですね。実力を知れたっていう。

———赤瀬さんはどうですか?

赤瀬: 僕は、大学お笑いをやった強みは意外と無いと思ってます。もちろん、ネタを書いたり、舞台でやったりした数だけ、成長はすると思うんですけど。ただ学生だと、1~2ヶ月お笑いのこと考えないとか余裕であるんですよ。芸歴4年分ずるいみたいな考えを持つ人はいると思うんですけど、ギュッとすれば養成所1年分ぐらいなんじゃないかと最近思ってます。あくまで、僕の個人的な成長度合いの話ですが……。

堀越: (笑)。まぁまぁ、そうかなぁ。

———プロになってから刺激を受けた、学生出身の芸人などはいらっしゃいますか?

赤瀬: サークルの一個下なんですけど、「海老車」ですね。近くて友達のような感じではあるんですけど。三人ともバイタリティがあって、コロナ禍でいろいろと苦労することもあったと思うんですけど、ライブをいっぱい主催したり、明らかに頑張ってたんで。見習わないとな、みたいなことは思いましたね。

———収録では、ダウ90000の蓮見さんのお名前も出ていましたね。

赤瀬: そうですね。ダウ90000を結成する前からの知り合いだったので、意識とはまた違うんですけど……良いモデルだなぁと。

ビデボーイズが描く未来

———今後の目標はありますか?

堀越: やっぱ『M-1』ですかね。『M-1』で結果出したいです。それ以外は、あんまり無いかもしれないです。とりあえず決勝にいきたいです。

赤瀬: 僕は結構、のんびり暮らせていて、幸せです。

———目指す芸人像はありますか?

堀越: 僕は、ずっとエレキコミックさんですね。単独が面白い人になりたいです。(エレキコミックさんは)コントですけど、同じようにネタで食べていきたいし、「単独を観に行きたい」と思われる人になりたい。

赤瀬: う〜ん、僕は、地元に帰れる芸人さんですかね。

堀越: なに、凱旋ってこと?

赤瀬: 地元で番組持つとか。

堀越: あぁ〜。

赤瀬: 良いなって思いますね。例えばこの人、って芸人さんはいないですけど。

堀越: 結構いらっしゃいますよね、サンドさん(サンドウィッチマン)とかね。呉(赤瀬の地元)で番組やるってこと?

赤瀬: そっか、大学で出会ったので地元違うんですけど、やれるのか。地元が2個あると思って頑張ります(笑)。

文 西岡
写真・編集 堀越 愛


ビデボーイズ

グレープカンパニー 所属

左:赤瀬
右:堀越

ビデボーイズ情報:@bidetboys_info

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